第4回授業 クリエイティヴィティとはなにか

 みなさんこんにちは、関ゼミです!GWの真っただ中の5/2、関ゼミはいつも通りの授業が行われました。教室に集まった時のゼミ生は心なしか疲れ気味のように見えましたが、始まった途端みんなにスイッチが入り、とても熱い内容になりました。


今回の課題図書は、「クリエイティヴィティ-フロー体験と創造性の心理学-」の第一章「舞台設定」でした。クリエイティヴィティ=創造性、今回はその「創造性」の正体について真剣に考えました。


創造性と聞いてどのようなイメージを持ちますか?私は、あるとき突然パッとひらめいて、そのひらめきは今後の人生を大きく動かすもの、というイメージを持っていました。しかし、この本の冒頭に書かれていたのは思いもよらぬものでした。


『真に創造的な業績とは、暗闇で電球が点灯するような突然のひらめきによってもたらされるものではなく、長年の努力の結果なのである』


私が考えていたものと真逆でした!創造性とは長年の努力の結果からもたらされるもの。そして、チャンスが巡ってきたことに気がつくことと、そのチャンスを逃さずすぐに対応できる力があることが重要なのです。努力を継続している最中にやってくる運を掴み取る!ということです。


さて、この創造性を達成するためには、強い心理的エネルギーが必要となってくるそうです。さらに「心理的エネルギー」を充電するためには、有名なマズローの欲求5段階の内下位欲求(生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求)をある程度満たしていないと難しいのだそうです。言い換えれば、創造性に富んでいる人は、これらの欲求をすべて満たすことができているので幸せな人が多いということにもなるようです。心が疲れてしまうと、何に対しても創造的にものごとに接することができなくなってしまいます。ですから、楽しいことや、好きなことに没頭することがとても大切です。周囲の環境を変えるのも、心理的エネルギーを溜めるのに効果的だそうです


心にエネルギーが十分にあると人は自己実現に向けて歩み始めます。創造的な業績を残したいと行動する時は、常に自分の能力よりも少し難しいと感じる環境に身を置くことも必要です。だからといって、難しい環境で努力をずっと続けるのは、とても大変ですよね。でも、もしそれが自分の好きな分野だったら、好きなことを頑張り続けるのは難しくてもチャレンジできるかもしれません。そして好きなことを長く続ければ続けるほど創造性は増していくようです。時に、その歩みの中で、新たな考え方や視点と出会うことがあります。これが「文化の交差点」です。その異なる文化と交差し新しい発見や達成が得られると、「心理的エネルギー」がさらに強烈に充電されるのだそうです。


これらの創造性を獲得するまでの過程を、本書では天文学者であるヴァン・ルビンの発見を例として挙げています。私の拙い技術での要約ではありますが、ご覧ください。


------------------「天文学者 ヴァン・ルビンが創造的な発見をした話」---------------------


ヴェラ・ルビンは、1つの銀河に属する星が全て同じ方向に回転してはいないこと、つまり星の軌道は同じ銀河面上を時計回りか反時計回りのいずれかの方向で回転しうるという発見に貢献しました。彼女は最初おとめ座銀河団の中にある銀河の研究をしていて、その研究を進めていくうちに銀河の中心部分で非常に早い回転や小さな円盤状態といったあらゆる銀河の不思議にはまりこみます。彼女は興味を持った14の銀河について論文を書くことにしますが、それらの中にさらに興味を惹かれる1つの銀河がありました。1989年と1年後の1990年に、その1つの銀河のスペクトルを撮影し、計2つのスペクトルを分析に利用しました。しかし、研究の結果を出すものの、根拠が不十分な部分が多く、その時は結論まで至りませんでした。その後、1人論文制作に取り掛かる彼女ですが、やはり2つのスペクトルでは十分ではないと考えた彼女は、2年後の1992年に新たにもう1回撮影をしようと決めたのです。その時、彼女はこれまでの分析に利用していた2つのスペクトルを、今度は偶然見比べました。彼女はそれらの何とも言えない独特なところにひっかかり、そのスペクトルをスケッチしました。そして突然彼女は全てを理解し、この発見に辿り着いたのです。彼女がひらめきを得るまでには、彼女の学者として、そして最初のスペクトルを撮影してからの長期にわたる努力がありました。そして、2年後に偶然2枚のスペクトルを見比べた時に感じた言葉で表せない違和感を見逃さなかったのです。なにより彼女自身は学者としての自分の役割に価値を見出していて、発見はいつもすてきだと語っています。彼女のこの経験は、長年の努力の結果、運、心理的エネルギーの充実さ、といった創造性の生れるプロセスが良く現れていますね。

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創造性(クリエイティヴィティ)には、長年の努力と運を掴み取る力が必要不可欠です。努力し続けるには、自分がそのことに価値をどれだけ見出せるか、どれだけ好きか、それによってどれだけの発見や達成感などの心理的エネルギーが生み出されるかがカギとなるのかもしれません。


関ゼミでは一体どんなクリエイティヴィティが生れるのでしょうか。

 

今回のオフショットは、熱いディスカッションが終わった後のリラックスタイムです!それではまた次回のブログでお会いしましょう!

 

 

文責 コミュニケーション学部3年 淺井初音


第3回授業 多文化世界について 

関ゼミのブログをご覧の皆さん、こんにちは。 今回のブログは、第3回のゼミで行ったことの報告をさせていただきます。

  今回授業の最初に行ったことは、先生から出されていた課題図書についてです。みなさんは本を読むことは好きですか?ちなみ僕は好きです。自分の知識を広げられるのはとても面白いですからね。 

  今回の本は「Cultures and Organizations: Software of Mind(訳書)多文化世界―違いを学び未来への道を探る/岩井八郎,岩井紀子」です。この本の一部を元に「文化は、遺伝子的に引き継がれていくのか、それとも、生まれ育った環境から学習していくのか」などの異文化についてディスカッションをしました。この本は今まで考えてこなかった分野であったので、新しい発見が多くありました! 

 例えば、人のメンタルプログラミング(どのように考え、感じ、行動するかという全ての人にある固有のパターン)についてです。メンタルプログラミングと聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、実はこれは皆さんも聞き馴染みがあるであろう3つのレベルで形成されています。その3つのレベルをピラミッド型に当てはめると、土台に「人間性」、中間に「文化」、そして一番上に「パーソナリティ」とあります。 

 人間性とは、『全人類に共通するもの』であるそうです。その人間性にも、遺伝によって受け継がれているものと、普遍的なこと(恋をする、悲しくなって泣く、大まかな善悪など)の2種類があります。本書にはこう書かれています。

『恐怖、怒り、愛情、喜び、悲しみ、恥を感じる能力、他人との付き合い、遊び、体を動かしたいという欲求、環境に注意を払い、自分が見聞きしたことを他の人と語り合う能力は全て、メンタルプログラミングのこのレベルに属している。しかし、これらの感情をどのように処理し、どのように表現するかは、それぞれの文化の中で修正される』 

 要するに、メンタルプログラミングの根本には、遺伝や人間としての普遍的な感情がありますが、それがどのように処理されたり、表に出されるのかというのには、文化が関わってくるということなのです。 

 文化というのは、『考え方、感じ方、行動の仕方のパターンを総称するもの』だといいます。関ゼミにある文化といえば、ネパール研修であったり、絶対に授業時間内に活動が終わらず毎回延長する、といったことが挙げられます。これらの文化は2008年からの関ゼミの活動によって時間をかけて徐々に当たり前となってきました。このように、文化というものは長い時間をかけて、その集団にとって当たり前になっていくということなのです。 

 そして、パーソナリティ。パーソナリティとは、『その人に特有の遺伝子によって受け継がれた特性と生後学習された特性の両方に基づいている』とのことです。人間性や文化、さらには生まれてから自分で経験したことが影響され、パーソナリティが形成されるのです。パーソナリティがなにかイメージが難しいと思った方は、「性格、人格、個性」と考えて頂くと良いかもしれません。パーソナリティは他の2つのメンタルプログラミング(人間性、文化)とは違い、他者との共有がされない部分です。共有はされないのですが、文化の影響によって変容しやすいという要素を持っているので、最も変化のある部分であるということです。 

 この話題が始まる時、関先生が唐突に 「人間はひとりで生まれて、ひとりで死んでいく。という言葉についてどう考えますか?」 と私達に問いかけました。この言葉、瀬戸内寂聴さんも生前に言っていたのをテレビ番組で見たことがあります。これは、そうである部分とそうでない部分があり、そうでない部分がとても重要なのです。人は生まれた後で他の人と生きていくからなのです。その中で、私達には本気で関わりたいと思う存在にめぐり逢います。本気で関わるということは、深く知るということ。深く知ることができればその人と繋がることができる。繋がれることができれば、共有できるということなのです。共有するというのは、自分と誰かが同じ綺麗な景色をみて「感動」という感情を共有するのではなく、お互いが感動を共有できている、そのことに、感動するこということなのです。 

 これは、今回のゼミのたった一部。これに加えて、価値観などの要素もあるわけです。これらのことをよく理解していくと、「価値観が変わった」という言葉を容易に使うことができなくなったり、たとえ日本人同士であっても、気を許せる友達がいることにすごい奇跡を感じることができたりしてきます。そこに気がつくことができるのがこのゼミの楽しいところなのです。 

 今月のゼミは今回で終わりです。5月には大きなイベントがあります。それは!合宿です。そろそろ本格的に話を進めていきます。今回、ゼミの最後に、自分たちが今どの程度の英語力なのかを試すためにテストを行いました。今後私たちの英語力を伸ばすために必要な試験でした。結果はどうであれ、8月に向けて一生懸命頑張りたいと思います。 最後までご覧頂きありがとうございます。それではオフショットを添えて、また次回! 

参考文献:Geert Hofstede, Gert Jan Hofstede, Michael Minkov /Cultures and organizations : software of the mind(訳書)岩井八郎,岩井紀子(2013)「多文化世界―違いを学び未来への道を探る」 

 文責 2年 塚本空良 3年 淺井初音