第7章「ついに!ネパール学生とのオープニングセレモニー開幕!!」



メロサティ島に到着し、ゼミ生たちはブロジェクト開幕の門をくぐり抜けた。
いよいよ例年にない、イレギュラーな国際交流が始まろうとしている。
Zoomというゼミ生とネパール学生を繋ぐバーチャル空間が開かれ、5000kmの隔たりを無かったものにしてくれた。

ゼミ生たちが先に開会式会場に登場し、ダンスのリハーサルを行った。1人が代表して音楽を流すが、音ズレでダンスのタイミングが合わない。内心焦りを感じながらも笑顔を取り繕ってネパール学生の登場を心待ちにしている。

次の瞬間、ネパール学生たちが「シュパッ」と壇上に現れスポットライトが彼らの顔を浮かび上がらせた。ゼミ生たちに緊張が走り抜ける。

司会者の亮(リョウ)が軽い挨拶としてネパール学生数人と話し始めた。日本人の話す英語は耳慣れしているからか頭にすんなりと入ってくるが、ネパール人の英語はスピードが速い。膨大な情報量が両耳から注ぎ込まれる。
しかしゼミ生たちは圧倒されてばかりではない。開会式の数ヶ月前から英語力上達を目標とするチームを設置していたのだ。

「あ、今から話す言語は英語のみね。日本語厳禁で。」

ゼミの間は日本人しかいないにも関わらず、授業中に英語のみの会話をする機会を設けた。内容は日常会話からイベントの立案まで多岐にわたる。ゼミの時間以外にも学生自ら空き時間にネイティブの方と英会話を行ったり、週に数回英語でゲームをしたりした。

ゼミ生の英語力も伊達ではないのだ。
しかしオンラインと肉声とでは全く別物。でノイズが入ってしまい、非言語情報もないため、イヤホンから聞こえてくる英語は難しい。そんな環境下でもゼミ生は必死に食らいついていった。

ゼミ生の自己紹介やダンスが終わり、ネパール学生の自己紹介ビデオも視聴した。
クラッカーが鳴り響き、盛り上がりも最高潮に達した。

オープニングセレモニーが満足のいく形で締めくくられ、ネパール学生が「また来週会おう!!」と言って一旦島を後にした。日本人だけの空間に戻り、日本語が聞こえてくる。脳が英語にシフトしていたため、とても懐かしい響きに感じられる。
セレモニーの達成感と充実感とともに、英語や異文化に触れることへのエネルギー消費の波紋がゼミ生たちに押し寄せてきた。

さらに長旅とメロサティ島に到着した安堵でゼミ生の身体にどっと疲れがでた。そんな中、桃香(モモカ)だけはメラメラとやる気に満ち溢れていた。桃花の目は炎のように燃え滾っていた。
彼女は目の前の壁が大きければ大きいほど燃えるタイプだ。強いエネルギーを持つ人をそばに置くだけで勝手に化学反応を起こす。もし関ゼミでサバイバル生活を行ったら最後まで生き残っているのは彼女に違いない。


一方このブログの担当者でもある美和(ミワ)の心の中は不安に満ち溢れていた。

「英語が耳からすり抜けていく感覚・・・。
そしてエネルギッシュなネパール学生たち・・・。」

英語力の上達や異文化に触れる心構えに注力してきた。今まで費やしてきた時間や情熱は決して無駄ではなかったはずだ。
しかし、彼女の前には実践という名の障壁が立ち塞がる。バーチャルとは言えど、生きた英語を相手にすることは、蓄積された知識を問題集でアウトプットすることとは訳が違う。話したい内容や単語が喉元まで出かかっているというのに、言葉として発することを阻まれる。机上の勉強だけでは太刀打ちできないことを知った。ただし・・・。

彼女には他の誰もが持ちえない「武器」を持っていた。自国である日本の史実に関する知識である。本人は控えめであるが、日本史オタクの父親の影響を強く受けた美和は、常に貴重な史実書類山積みの父親の部屋からZoomミーティングに参加した。嬉しそうに背後にある資料の説明を続ける慢心の笑顔の彼女を見て「こいつも只者ではない」と誰しも思った。たとえネパール人ほどに英語で話すことができずとも、彼女のこの豊富な知識は、日本に強い興味を持つネパールの学生たちと交流する際にはとても役立つはずだ。


話を元に戻す。不安に駆られた美和は、メロサティ島に残されたゼミ生の顔をぐるりと見渡した。すると驚いたことに桃香を除いたゼミ生の顔がげっそりしていた。この状況を見て、美和は不謹慎にも心の中で安堵した。不安に思っているのは私だけではない!と。同時に絶賛化学反応中の桃香には敵わないなと感じていた。とその時!!!


美和は目撃してしまった。ある学生が鼻から鼻血を出しながらニヤニヤした顔でネパール学生が離陸していった大空を見つめている光景を・・・。


次回「互いの日常大公開!関ゼミ男子2人にズームイン!!!!」

第6章「いざ!メロサティ島へ!!!」

ゼミ生ははっと我に返った。
亮(リョウ)からの一言で皆慌てて飛行機に乗り込み、すぐに離陸した。この時ゼミ生の一人が機内に見当たらないことに気付く者は誰もいなかった・・・(ブログ後半でこの事実が明らかになる)。

さて、ここで亮について紹介していこう。この男の特徴を一言で表すとするならば“不死身の男”、いや“おきあがりこぼし”といった方が正確かもしれない。これまで3年近く、何度も地面に叩きつけられようとも屈することなく、図太く這い上がってきたのが彼だ。一例を挙げよう。昨年ネパールで、国際学生サミットの前日、亮は心身疲労のためにパスポート入りのバッグを公共の場に置き忘れた。それを見つけた関先生は戒めのために一時黙って自分の部屋に保管したのだそうだ。するとその事実を知った亮は逆切れし、血相を変えて関先生の部屋に猛抗議に行ったそうだ。するとあの関先生が、「亮があまりに頭に血が登っていたので思わず謝罪した」とのこと。自身の過失までを武器にして先生に立てつくほどの類稀なるタフさを備える逸材だ。関ゼミ生最長記録保持者でもある。彼の記録を破る者は今後そう簡単には現れないだろう・・・。


無事離陸した飛行機の中。シートベルト着用サインが消えると、一斉に皆動き始めた。
「え、何この集団。疲れ果てているはずなのにまた動き始めた。」
その異様な光景は、客室乗務員たちが不気味な気配を感じ、機内サービスを躊躇うほどであった。
しかし彼らには動き回らねばならぬ理由があった。目的地に着いたらすぐに、ネパール学生とオープニングセレモニーが開催される。その準備がまだ終わっていなかったのだ。飛行機の中で映画や食事を楽しむ余裕はなかったのである。

国際学生交流プログラムのオープニングセレモニーと言えば、まずは衣装だ。日本文化を代表する衣装でネパールの皆を魅了しなければならない。しかし。彼らは皆10,000ボルトの雷に打たれ泥だらけ、ボロボロ。
「準備の前にまず着替えよう!」
ミャンマー人リーダーのトウエが大きな声で叫んだ。悲鳴にも近い。なお、機内にはなぜか女子には浴衣男子には甚平が既に用意されていた。
その声と共に皆一斉に立ち上がり、男子はその場で躊躇もなく洋服を脱ぎ始めた。すると普段は物静かな凛(リン)から

「ちょっと!!失礼ね。男子はトイレで着替えて!!!」と鋭い指摘。

その一言に男子一同、ばつが悪そうにトイレに向かった。(どうやら今年の関ゼミは女子の力の方がが強いようだ・・・。)
男子は機内の狭いトイレでこそこそと、一方の女子は座席で堂々と着替えた。この光景こそが今年の関ゼミの実態なのだろう。
着替え終わると次にゼミ生それぞれが日本文化を紹介する動画を作り始めた。内容は書道や獅子舞から日本の宗教観念や線香花火、納豆まで様々である。
「火事場の馬鹿力」とはこのことだろう。飛行機が目的地に向かうまでの間、ゼミ生の酋長力は一時たりとも途切れることなく、一人一人の個性が爆発するような動画が次々とできあがった。
しかし、セレモニーの準備はまだ終わらない。ゼミ生17人が1人1スライドを担当して自己紹介を行う。もちろん英語で。自分の特徴を表す英単語をタグ付けし、趣味や写真を貼り付ける。
このころになると、疲れを通り越して皆ぶっ飛んでしまっていた。例えば、佳穂(カホ)。煌びやかな衣装でサンバを踊る関ゼミの舞踏家である。また、静華(セイカ)は「みんな見て、私はネパールを漢字で書いた見たわ。どう」と自慢げだ。一同「ウォー」と叫びなぜか佳穂につられてサンバを踊り始めた。この切迫した状況の中でも、ネパールを漢字で書いたことを、世界の最高峰エベレストにでも登頂したかのように喜ぶ静華。それにサンバで応じる佳穂やゼミ生たち。もはや・・・。

機内は一気にバブリーと化した。
オープニングセレモニーで披露するダンスの復習だ。1ヶ月以上前に汗水垂らして覚えたダンスを今必死に思い出す(詳しくは第二章参照)。大丈夫、体はまだ鈍っていない。頭が覚えていなくとも曲が流れ出せば自然と体が動き出す。指先が、手が、ダンスを練習したあの熱き日々を覚えているのだ。そうして各々が動画作成やダンス練習に没頭し始め、機内はもうカオス。客室乗務員たちもお手上げだった。

ふと亮が呟いた。
「ねえ、美結(ミユ)居なくない??」
そう言えば、ダンスの冒頭で圧倒的な存在感とともに踊り出す予定の彼女の姿が見当たらない。しばらくの沈黙に続き、物静かな凛が再び悲鳴を上げた。
 「美結、最初から飛行機に乗っていなかったよ。なぜ置き去りにしたの?あんまりだわ。」
 皆の冷たい視線がリーダー、トウエを突き刺した。するとトウエの口からとんでもない一言が。
「ごめんなさい。数え間違えました。」
「絶句・・・」
しかし飛行機は着陸体勢に入るため高度を下げ始めていた・・・。

いよいよメロサティ島が眼前に現れた。(メロ・サティはネパール語で私の友達の意。2015年以来、私たちのプロジェクトは「メロサティプロジェクト」と呼ばれている)。この島はコロナフリー。歴代関ゼミ生がこの時のために長年作り上げてきた夢の島である。夢の島とは?つまりバーチャル島だ。オンライン上、次世代型の島である。対面型交流では実現の難しかったあらゆることが実現可能な夢の島。ただしここには選ばれた者しか立ち入ることのできない世界で唯一の島である。

トウエの致命的な「点呼ミス」により一名を欠いてしまったが、ゼミ生はとにかく席に戻り着陸に備えた。

しかし、異変はさらに続く。いつまで経っても飛行機が着陸体制に入らず、上空で旋回しているのだ。「今度は何?」皆に不安がよぎる。

その時パイロットから機内放送が流れた。

「残念なお知らせです。メロサティ島の滑走路が未完成なため、当便は着陸することができません。」

「もう関ゼミ、無茶苦茶だ。オレ、台湾に帰る」これまで笑顔を絶やさなかった陳(ジュン)が気が狂ったかのように非常ドアを開け始めた。皆必死に陳を押さえつける。しかし陳の力が予想以上で、5人がかりで次から次へと飛び掛かった。

その時だった。
登山を趣味とし野生的視力を持つ千咲(チサキ)が窓の外を見つめながら呟いた。

「あれ、美結じゃない?」


何やら人影が見えた。間違いなく美結であった。安全第一のヘルメットをかぶって未完成な滑走路を必死に作り上げている姿が見えた。その姿は機内のテレビにも大きく映し出され、肉眼と画面上で、彼女の必死な姿を目に焼き付けることとなった。
ここで美結を紹介しよう。
美結は東経大生であるが、事情により関ゼミ履修で単位取得できない。それでも聴講生としてゼミ活動を志願してきたストイック学生。

さらに彼女はカリスマ性の塊である。通常、他の授業と被っているため4限目のゼミには参加できないが、サブゼミが始まる5限目前の休憩時間に彼女はやって来る。前の必修授業が終わるやいなや休憩も取らずに・・・。なんて凄まじい熱量だろうか。彼女がZoomに入る瞬間は他のゼミ生は休憩中でカメラをオフにしているため姿が見えない。
授業終わり、関先生が偶然カメラとマイクを切り忘れていた。糖分補給を兼ねて束の間のお菓子タイムを楽しんでいる。ガムを噛む音がネットを通して響き渡っていた(笑)。その音を彼女のレーダー探知機が察知し、ロックオンする。

「関先生、今日はどんな授業でしたか?」

参加できなかった90分の授業時間を取り戻すべく先生との熱い議論が繰り広げられる。

その時間わずか10分。

休憩を終えたゼミ生たちが再び討論を始めると、彼女も最初から参加していたかのように惑うことなく話に加わるのであった。

滑走路完成のため、工事現場指揮官を務めている美結をゼミ生が上空で見守っていると、彼女が額に流れ落ちる汗を右腕で拭いながら上空を見上げウィンクした。この瞬間は機内の画面上に大きく映し出され、“滑走路が完成した”という合図であることを全員が察知した。
機内は歓喜で沸き上がり、パイロットから注意の放送が流れるほどであった。

そしてついに全員が無事にメロサティ島に到着し足を踏み入れた。
「美結、ありがとう!」「美結のおかげで島に着陸することができた!!」
ゼミ生全員が彼女のもとへ駆け寄り、胴上げをし始めた。美結の被っていた安全第一のヘルメットが快晴の青空高く舞い上がったその先にはオープニングセレモニーへのアドバルーンが私たちを誘うように風に靡いていた。
これはオープニングセレモニーが始まる合図でもあり、「日本―ネパールオンライン交流プロジェクト」が開始された瞬間でもあった。私たちは苦難の末に、ようやくその入口へと歩き出したのだ。

次回「ついに!ネパール学生とのオープニングセレモニー開幕!!」

Merosathi Online Project 2020 第2セクション~このプロジェクトはまだ始まったばかり~



2回目のメロサティオンラインプロジェクトから2週間後の7月31日に、第2セクションの発表がありました。今回のテーマは、「各国のお祭りについて」。ネパール人メンバー、日本人メンバー合わせて5〜6人ほどの人数で6グループに分かれました。そして、1年間を区切って決められた期間の間に行われるお祭りについて紹介しあいました。伝統のお祭りに限らず、学校行事のお祭りなども含めて紹介しました。

前回のテーマは、準備期間が1週間しかありませんでした。しかし今回は2週間も準備期間があったため、グループ内でたくさん話す時間がありました。よって前回よりも、お互いの国やお互いのことが知れて、さらに仲が深まったのではないかと感じました!

そして発表当日は、そのグループの仲の良さがとても伝わるものばかりでした!また、みんなで協力して作ったパワーポイントや工夫された発表などグループの個性が溢れていました!実際のお祭りの写真を使ったり、お祭りで食べられているものを見せたり、歌を歌っているグループがいました。オンラインでできる最大限の方法で、お互いの国のお祭りについて知ることができました。とても楽しく、有意義な時間を過ごすことができました。

次のセクションではどのようなテーマで、どのような発表になるのか。また今後、より一層交流が活発になり、すごいものができるのではないかと今からとてもワクワクしてます!今後のメロサティオンラインプロジェクトの活動に、ますます目が離せません!


このプロジェクトの様子は、SNSで随時発信しているのでよろしければご覧ください!

またこちらのブログでは、ゼミでの日常をおもしろく発信しています。世の中が大変な状況でも、楽しく頑張るゼミ生の日々をぜひ覗いてみて下さい!
このブログを読んだあなたは、きっと笑い転げること間違いなしです!!

(文責:稲村凛)



Merosathi Online Project 2020 第1セクション〜ついに出発!!!〜




先週の素晴らしい開会式から1週間後の7月17日に、第二回目のメロサティオンラインプロジェクトが開催されました。メンバーに課せられた初めての課題は「Daily life showcase。」ネパールと日本の日常生活や習慣などをグループ毎にパワーポイントなどにまとめて発表することでした。ついに、ネパール人メンバーと日本人メンバーの交流が本格的に始まったのです。各チーム4人〜6人の小グループに分けられたことにより、少人数のとても濃い交流の機会となりました。『ついに始まったか!』というワクワク感と、メンバー同士が初めましてから始まる不安、この何とも複雑なが混ざった気持ちは、きっと日本人メンバーもネパール人メンバーもみんな同じだったはずです。
Facebookを利用したやりとりがメインになるため、さっそくアプリを入れて慣れない操作に困惑するゼミ生、ネパール人の返信の速さと英語タイピングの早さに苦戦しつつも楽しみを見つける学生皆必死でした。

そして発表当日。どのグループも本当に個性的で楽しそう。一週間の交流で仲良くなったことが伝わってくるプレゼンテーションでした。異なる環境、衣食住スタイルの元に暮らす異国の学生同士が、1週間でここまで仲を深めることができるのか!と感動しました。また、ビデオ通話、Zoom、そしてチャットといったオンラインだからこそできる強みを最大限に活かして準備に取りかかることができたんだと、各チームの発表を通じて感じました。

発表中に動画が流れないトラブルにも、全員でフォローしあいながら無事成功に終わった第二回目のメロサティプロジェクト。次のプロジェクトに向け、メンバーは止まることなく交流をしています。さて、次回はどのような新しい色をこのメロサティオンラインプロジェクトに重ねるのか。プロジェクトは始まったばかりです。4か月続きます!これからの活動に乞うご期待!

(文責: 岩田桃香)

第5章 「感電男による関ゼミ10,000字プロジェクト」

倒れかけた関先生を再び起き上がらせるために流した10,000ボルトの電流は見事に先生を感電させ、私たちは歓喜に沸いた。
「よし、これでみんなでネパールに行けるぞ!」
とそのとき、一人のゼミ生が皆を制するように声をあげた。
「ちょっと待って!あれを見て。やばいよ!」
彼女が指さす先には、関先生の横で一緒に通電してしまい、よだれを垂らしビリビリと大きく震えながら目をギラギラ輝かせている男がいた。
「充俊(あつとし)だ・・・オウ・マイ・ゴッド」。
よりによって一番刺激を与えてはいけない人に・・・。一同思わず自身の顔を覆った。
ここで充俊に触れておこう。
充俊=「僕は1日1冊、1年間に365冊の本を読んでいます!」
  この公式は、もはや関ゼミの定説である。関ゼミは「交流からの学び」をキーワードとしているため新たな出会いが多い。その度に自己紹介(日本語・英語)をするのだが、彼はその度に超強烈な自己紹介で相手をドン引きさせる。上記の彼のセリフを私たちゼミ生は少なくとも30回聞いた気がする。初見でこの言葉を聞いた時は誰しもが驚いたが、今や聞きすぎて誰も反応しなくなった。
彼を語るには”読書家”という文字だけでは足りない。膨大な読書量から蓄積された知識を脳内に宿す彼は、半端ない数の東大生を輩出する高校でディベート部に所属していた。その知識と表現力を関ゼミでも存分に発揮していた。私たちが読解困難な論文に議論が煮詰まった時、持ち前の情報力を駆使し円滑な討論へと導いてくれたこともあった。その一方でかなり極端な側面もある。あるとき授業中に議論が白熱し、
「充俊、喋りすぎ。他の人に発言の機会を与えたいから少し抑え目に」
と関先生に授業後に助言されたそうだ。しかし、彼に「少し抑え目に」などという中途半端は通用しない。先生の助言を真に受けた彼は翌週の授業では一言も発せず微動だにしなかった。まるでマダム・タッソー館の蝋人形のようになってしまったのだ。今度は一言も発しなくなってしまった。それはそれでゼミ生も困惑する。“充俊”という人物を表す物差しは0か100という極端なもので、常人の50という数値が存在しないらしい。また、彼は運動能力も長けており柔道で黒帯、他にも合気道、陸上、サッカーなどあらゆるスポーツに力を入れてきた。授業中になぜボクシングにはまっているのか聞いてみた。その理由は・・・。
「あしたのジョーを見て、自分も燃え尽きてみたいと思ったんです。」
彼のエネルギー消費には脱帽である。
目をぎらぎらとさせながら感電している彼を見て、これからゼミに降りかかってくるであろう「何か」を感じ、皆に強い緊張感が走った。
事はサブゼミ中に起きた。
日本国内外での異文化交流や多文化共生をテーマとする関ゼミは、自分たちの活動をどのように広めるか考えていた。
そこで満を持して充俊に蓄積された10,000ボルトが放電された。
「SDGs学生小論文アワードという、『 企業が持続的に成長するためにSDGsにどう取り組めば良いのか?』をテーマに“10,000字”で論ずるコンテストを見つけました。これに応募しましょうよ!!!」
彼の持つ“10,000”ボルトがまさかこんな形で体現されるとは、、
早速皆でコンテストのウェブサイトを調べた。応募開始は半年前、締め切りは10日後。優勝賞金100万円。伝統あるコンテストだけにきっと応募者は一年くらい準備して臨んでいるはずだ。それをあと10日で?絶対無理。誰しもそう思った。
「僕は関ゼミの10年以上にわたる実績を既に調べ上げています。関ゼミは受賞に値するくらいの活動をしています!」
もうこうなったら彼を止めるのは不可能だ。その日から恐怖の10日間を覚悟した。
10,000ボルトの電流は実は他のゼミ生にも通電してしまったらしい。充俊の声がけに何と8名ものゼミ生が手を上げたのだ。オンライン授業の大量課題で猛烈に忙しい最中。関ゼミは常軌を逸しているとしか思えない。その日の内に役割分担が決まった。
考えてみれば、この8人は直接会ったことが一度もないのだ。バーチャルな関係しかない8名がわずか10日間で論文を完成することなどできるのか・・・。
しかし、さすがは充俊。
「8人いれば1人約1,000字。10,000字なんて楽勝だよ。」
繰り返すが関ゼミ生はハイスペック集団。一度目標が決まれば行動力は凄まじく、猛烈な作業が始まった。「忙しくても、時間なんて作ろうと思えばいくらでも作り出せる。」それぞれ課題があるにも関わらず、たった数日間で必要な情報を充俊をはじめとする執筆者に提供した。後はそれを元に論文をまとめるだけ。充俊はフルチャージされているため100メモリの状態で集まった文章を編集した。
そして・・・締切日前日、彼らはついに編集を終えた。
提出日を迎え、プロジェクトチームのグループLINEでは8人が集まり論文の見直しを行った。LINEの通知が一日中鳴り止まず、そこでも熱い議論が交わされた。いつもは気にならないはずの時計の秒針の音が聞こえる中、実際に提出した時間は締切の3分前であった。提出した瞬間、「間に合ってしまった・・・。」と8人は電池切れ状態になった。
※実はこのコンテストは、応募条件として「チームの場合は3名まで」とある。その条件をクリアするために8名中5名は黒子に徹し、3名が代表して執筆した。
このプログラムの優勝者には賞金100万円が授与される。ゼミ生は100万円あったら~と夢を語っていた。
さて、恐怖の10日間が終わり、一息ついていると関ゼミの「お兄さん」(東経大4年生)こと亮さんから
「ねぇ、みんな大事なこと忘れてない?パイロットがネパールに向けて離陸を待っているんだけど。もう時間がないよ。早く飛行機に乗ってシートベルト締めて!」
そう言われてはっとした。そうだ私たちはネパール国際交流プロジェクトを開催するために、関先生を感電させようとしていただけなのだ。なのにまだ飛行機にも乗り込んでいないなんて!!!
無事に心を取り戻した関先生と関ゼミ生はいよいよネパール行きの飛行機に乗り込み、ネパール国際交流プロジェクトの準備を開始する。
次回「ネパール国際交流プロジェクト開幕!!!」

「Merosathi Online Project 2020」開会式開催!コロナ禍に負けるな!


2020年7月10日(金)ついに「MerosathiProject 開会式」が開催されました。厳しい選考を勝ち抜いたネパール学生17人と関ゼミ生17人が初対面しました。

例年の関ゼミでは、9月にネパールなど南アジア・東南アジア諸国において2週間の国際学生交流活動を実施してきました。しかし、今年はコロナウイルスの影響により渡航禁止という最悪の事態を迎えましたにもかかわらず常に前向きなゼミ生は、これをいい機会だと考え、新たな、これまでにないプロジェクトを考え出しました。それが、4ヶ月間かけてオンライン上で交流する「Merosathi roject(メロサティプロジェクト)」です。

ゼミ生もネパール学生も自宅に閉じ込められながらも。国際学生交流研修と同じくらい、いやそれ以上の密度の濃い経験と体験ができるであろうオンラインプロジェクトを両国の学生で盛り上げていきます。

今回のプロジェクトのテーマはSDGsです。実は、この新プロジェクトを考える前から、個々の学生はSDGsに関わる活動を経験していました。SDGsゲーム簡単に学べる仕組みを考えたいれば、SDGsのいくつかのゴールについて議論を重ねてきた人もいま過去の海外研修でも常にSDGsは意識してきたそうです。ですので、私たちゼミ生にとってSDGsとは関わりが強いものです。今回のプロジェクトでSDGsと社会問題について日本人学生とネパール人学生が一緒に議論し、その中でお互いの文化理解を深めていきます。


そして、ついにそのプロジェクトの第1回目が行われたのです。


全員がzoomに入ったことの確認が取れた後、Zoom上で打ち上げ花火があげられました。そして動画、パワーポイントなど使える機材を駆使し、お互いに自己紹介を行いました。もはや、オンライン上とは思えないほどの臨場感溢れるハイクオリティーでした。

日本人学生は全員で、クラッカーを鳴らし、ダンスを披露しました。一方でネパール学生は生歌を披露しました。言葉では伝えきれないお互いの思いを感じ取ることが出来ました。

2時間の「Merosathi project オープニングセレモニー」はあっという間。次週までの宿題を与えられ解散しました。

最後に、このプログラムが最強であることを印象付ける一言で締めくくります。11月にアジア各国のみならず世界中の学生が集う学生たちの祭典国際学生サミット2020」をオンラインで行いますオンラインの強みは人数制限がないこと。4か月前の現在、既に数か国だけで100名以上の参加が確定しています。まだ宣伝も開始していないのに・・・。

これからの「Merosathi project」の活動乞うご期待

(文責:江川佳穂)






第4章 「父の日サプライズ!!歌の力でフルチャージ!!」


私たちは「自立」する時が来た。先生にはもはや「飛行機」のタラップを登るエネルギーは残っていない。置き去りにするのは大変申し訳ないが、致し方ない・・・。大学のゼミにおいて、教師を置き去りにして学生だけが飛び立つことなどあり得ないはずだが、それがまさに今目の前で起ころうとしていた。

仕方ないのだ。

ある時は、私たちがネパール学生と互いに動画を送り合い交流を深めようとしている真っただ中に、オンライン授業の過酷さ故に自己嫌悪に陥り「私を置いていってください…」とまさかの自滅発言。無礼を恐れずに言えばまるで誘蛾灯に照らされ翅のなくなった昆虫のようだった。

またある時はzoom授業の途中にゼミ生全員の視線が集まるカメラの前で頭を抱え「The 悩んでいる人」ポーズ。

落ち着きを払ったゼミ生を他所に、先生だけがまるで電気の使いすぎでブレーカーが落ちたり、漏電したりするようにてんやわんやしていた。

「置き去りにしてごめんなさい。私たちは世界に向けて飛び立ちます。先生はもう私たちのことは忘れてごゆっくり・・・。」

飛行機のドアは閉じ、離陸に向けてゆっくりと機体が動き出した。

と、そのとき、一人の学生が電光石火の如く皆に大きな声で熱く語りかけた。「こんなの、あんまりだわ。もう一回だけ最後のチャンスをあげようよ。倒れかけている先生に熱い心からの叫びと励ましの歌を送れば、再び立ち上がってくれるかもしれない。これがだめなら私も諦める。」

 

声の主は榎本みう。別名、関ゼミの「歌姫」(本ブログ担当者のひとりでもある。)

これまでも度重なる苦境を力強い歌声で救ってきたみうに皆の視線が集まった。

「みうがそこまで言うなら・・・。」
とゼミ生の決意は固まった。

目標が決まれば関ゼミの準備は早い。関先生に10万ボルトの閃光を注ぐために、実行日は「父の日」と定めた。関先生が自分たちの父と年齢が近いとはいえ、大学教授を“お父さん”と呼ぶゼミ生は滅多にいないであろう。休日である父の日に、ゼミ生からお父さんと呼び掛けられる展開など先生は絶対に予想をしていないと考えた。

そして先生の趣味嗜好というベールを剥がすべく、ゼミ生総出でネット上にある先生の情報を全て調べ上げ、たった一週間で関先生の人生をほぼ網羅した。(達成感と共にネットの恐ろしさも感じた。)

あるゼミ生が言った。「関先生は大のユーミン好きだぞ。」
みうはこれに強く反応した。「それだ!ユーミン風でいこう!」

「私が歌うからね。みんなは最後に一緒に「関先生、ありがとう」って言うだけでいいから、気持ちを込めて言ってね。わかった?」

普段は温厚で静かなみうがいきなりゼミ生をてきぱきと仕切り始めた。その変わりように皆は圧倒され、言われるままにするしかなかった。
ゼミ長は「パイロット」に、機体を一旦停止するように指示。みうはその場で作詞に取りかかった。文才のある彼女にとって関先生の心を奮い立たせる程度の歌詞などお手の物だ。あっという間に完成させギターを手に取り、ユーミン風の歌にしてしまった。

時間が限られる中、既存の音源に頼らず必死に歌を練習し続けるみうは、まるで白熱電球を発明しようとするエジソンのようであった。オリジナリティ溢れ、電気ストーブの熱のように心が温かくなる歌をこんな短時間で作れる彼女はカリスマとしかいいようがない。

限られた時間の中でもプロジェクトは緻密に練られた。作戦はこうだ。

まず、父の日である6月21日日曜日の夜23時に、ネパールプロジェクトについてセクションリーダー会議をZoomでやりたいと先生に声かけをする。そして当日先生が登場したら話し合いを装い、途中で歌を歌い始め、先生を驚かせてエネルギーをチャージする。

しかし、ここでも先生が面倒を起こす。会議を提案したところ、「そんな会議は必要ない」と一歩も譲らないのだ。

「日曜の夜23時にゼミの会議とか、大学の授業として普通にまずいでしょ。緊急事態ならともかく。」

ここまで来たら“騙すしかない”という結論に至った私たちは、「先生、今ここでは言えませんが緊急事態なんです。会議に参加してくださればわかりますよ。何とかお願いします!」といって拝み倒した。

そして父の日当日・・・

ゼミ生がスタンバイしている中、時間通り、日曜の夜23時に、深刻な話が待ち受けていると勘違いしている関先生がZoomに登場した。先生は困惑しながらもゼミ生の様子をうかがっていたが、戸惑った様子で言葉を発した。

「え?なんで全員いるの?リーダー会議なのに?」

思わず爆笑しそうになったがここは抑えないといけない。おもむろにゼミ生がパワポスライドを共有しながら、ネパールプロジェクトの相談を始めた。

数分後、スライドをめくって…

「関先生!!これは真っ赤な嘘です!!!!」と力強く宣言!!

まったく意味のわかっていない関先生は「ぽかん」としている。そこにゼミ生渾身の動画がZoomに流れ始めた。

動画によりゼミ生ひとりひとりが帯電する電気が寄り集まり、先生に1000万ボルトの電気ショックを流した。動画が終わったころには先生の心はフルチャージされていた。

そして・・・!さらに・・・!

私たちの流した電流があまりにも強すぎたのか、関先生のみならず、充俊(あつとし)というもう一人のゼミ生をも感電させてしまった。彼が「ビリビリ」と感電している様子は画面上からも見て取れた。「やばい。あつとしを助けなければ。」

しかし手遅れだった。フルチャージされてしまったその感電男の口からまさかの"爆弾発言"!誰しもが驚き凍り付くようなとんでもない提案をしてきた。

「え、あつとし、気でも狂ったの?」

次回「感電男による関ゼミ10,000字プロジェクト」

第3章「関ゼミのエレメントとネパールプロジェクト始動」


ネパール学生へのお返し動画が完成し、「これでやっと交流ができる」とゼミ生全員が期待に胸を膨らませていた。しかし、

「オンラインプロジェクトは無理。ネパール学生との交流はなし!」

先生の一言でゼミ生の心は奈落の底に落ちてしまった。この状況から関ゼミは立ち直ることはできるのか・・・

 

第2章→https://note.com/sekiseminar/n/nb81496f988a8

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本題に入る前に、関ゼミ生の‟さわね”(ゼミ内役職‟お姉さん”)について少し触れておく。実はさわねは東経大生ではない。上智大学総合グローバル学部4年生。フィンランド語話者、上智大のゴスペルサークル「サフロ」の中心メンバー。内閣府主催の国際交流プログラムでも日本代表に選ばれた逸材だ、なぜこんなすごい学生が東経大の関ゼミに?

さわねは、2年前、関先生が代表理事を務める団体の主催する日本―ベトナム学生交流プログラムに参加し関先生と知り合った。その後団体の学生アシスタントとして活躍し、今年2月には関先生のアシスタントとしてネパールで2週間プログラムを支えた。

関先生によれば、ネパールの標高2700メートルにあるヒマラヤの奥地に滞在中のある夜、いきなり、「関ゼミに入りたい!なんでもやりますから」と直談判してきたのだそうだ。「こいつ一体何を言っているんだ」と先生は頭が混乱したが、さわねの目は本気。しばらく考え、さわねは東経大のゼミ生が「ウチ」に籠ることなく「ソト」に目を向ける起爆剤になれると考え、特別に許可を出すことにした。

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「ネパール学生とオンラインプロジェクト交流は断念、無理。」と関先生がゼミ生を業風にさらす宣言をする中、一人諦めない学生がいた。それこそがさわねであった。関先生の‟キャラ”を知り尽くしているさわねは確信していた。

「関先生がネパールの学生と交流したくないはずがない…」

一方のゼミ長はミャンマー人で生粋の正直者。さらに彼女の母語はミャンマー語。いくら日本語が流暢と言えど、日本人特有の“行間を読む”ことを強いるのは辛辣であろう。先生の宣言を「文字通り」に受け取っていた。

墜落寸前の飛行機の操縦桿を握るゼミ長はもはやあきらめ、「最悪の事態」を覚悟した。一方の管制官、さわねは必死にゼミ長に訴えた。

「トウエ、最後まであきらめてはいけない。ネパールとの交流絶対できるから!あきらめたら関先生もがっかりするよ!」

「でも、さわねさん、関先生は‟オンラインプロジェクト交流は無理"と言いました。」

「いや、関先生は本当はやりたいんだよ。」

操縦士(トウエ)と管制官(さわね)の必死の攻防は実に数日間に及んだ。他のゼミ生はそのことを全く知らされていなかった。

同時にさわねは、さらに一人一人のゼミ生に前向きな言葉をかけ続け、何とかネパールの学生との交流を実現しようと奮闘していた。

ゼミ長は、さわねの必死の努力に次第に感化され、「日本人は複雑だ」と首をかしげながらも、再び気持ちを取り戻し、操縦桿をしっかりと握り直した。

風の噂で耳にした話だが、さわねは先生にも水面下で地道に交渉を続けていたらしい。管制塔の役割からディスパッチャーまで全てこなし2020年関ゼミを再び気流に乗せるべく必死だったそうだ。東経大のゼミを上智大生が守る。何とも不思議な構図だが、それもまた関ゼミが長年に亘って築き上げてきた独特の文化でもある。

その結果、ゼミ生も関先生もネパール学生とのオンライン交流への意欲が復活!!!

そしてついに、関ゼミ史上初、そしておそらく日本発の「コロナ禍記念『バーチャル』日本―ネパール国際交流プロジェクト」の開催が決定した。

「外出自粛の日本とロックダウン中のネパールの国際学生交流は世界でも極めて稀。どうなるかわからないけど、頑張ろう!」

一転、関先生の口から発せられたのポジティブ発言を、ゼミ生はどのような気持ちで受け取ったのだろう(話がコロコロ変わる笑)。しかし少なくとも機体は再び上昇し始めた。

「よしこれでようやく水平飛行」

ゼミ生たちは、シートベルトを緩めた。これからはきっと順風満帆。バーチャルであろうともネパールの学生や世界中の学生との交流が楽しみ。「ようやく思い描いていた関ゼミに戻った」と一同安堵した。

しかーし。またしても、誰も予想だにせぬとんでもない事態が再びゼミを襲う。発信源はまたしても関先生。なんと

関先生が授業中に自滅してしまった!

教師が崩れ落ちていく姿など滅多に見れるものではない。それが目の前で起こったのだ。

ある日の授業中。先生は異文化間コミュニケーションについて一生懸命説明し、学生も熱心に聞いていた。すると突然、先生が苦悩の表情を浮かべ言った。

「もうだめだ。どうしたらいいかわからない。無理、みんなが授業に興味を持っているかどうかもわからないし、僕の話がためになっているかもわからない。だめだ。僕って最悪だね。」

私たちは真面目に聞いているだけなのに、先生が勝手に自己嫌悪に陥ってしまった。画面上には頭を抱える関先生。

「え、一体何が起こったの?」

状況がわからず唖然とするゼミ生。雲で描かれた道標は深い青い空に溶け込み、行き先を見失ってしまった飛行機のようだった。

もちろん先生もオンライン授業で、いかに盛り上げるか綿密なプランを立て、全力を注ぎ込んでいた。しかし対面授業とは違う環境。さらに、発言者以外はミュート(音声を遮断)にしているためゼミ生の反応を掴めず、関先生は内心「自分の話はつまらないと思って聞いているのだ。」と思い悩んでいたとのこと。

「そんなことないですよ、先生大丈夫ですよ。」

とひたすら先生を励ますゼミ生たち。しかし先生の動揺は収まらなかった。

コロナ禍は学生だけでなく教師の心も蝕んでしまうのか。

ここで、逆に学生たちは決意を新たにした。もはや先生に頼っているだけでは再び失速してしまう。ネパール人との交流プロジェクトを前に破綻する訳には行かない。自分たちで頑張るしかない。

「みんな自立するぞ!」

関ゼミ生を乗せた飛行機は、翼が折れようとも疾風に乗って大空へ再び飛び立った。

第2章富士の聳える国の学生からヒマラヤの国の学生への返信

第2章「富士の聳える国の学生からヒマラヤの国の学生への返信」

心地よい朝凪が吹き抜けるように“ヒマラヤの”ネパールの学生たちから自己紹介動画が届いた。突然に送られてきたハイクォリティ動画。ゆったりと波に体を預けることなどもはや許されない。

「返事を送らないとね。」

関先生の鋭い視線にたじろぎ、ゼミ生は、体の重みを感じながら地上を歩み始めた。 

 

 

そして、ゼミ生たちは「これからあの剣山を登頂してみせる」そう固く決意し入山した。 

 

 

書き記すか迷ったが、関ゼミは大学のゼミ、言わずもがな、毎週金曜4限、5限に「多文化共生」や「異文化コミュニケーション」をテーマに白熱した議論を重ねている。4限の授業では、難解極まる内容の資料を読み解く。先生とゼミ生の間では容赦ない火花が飛び交う。まさに一触即発。聞くところによれば、なんと大学院生向けの本だとか。初耳である。されど関ゼミという攻略困難な山に登頂した猛者たち。突飛な質問にも冷静沈着に対応しつつ、烈火のごとく質問を返し立ち向かった。先生も予期せぬ方向から投げ出される難解な質問に、ポーカーフェイスを崩さないよう必死に答えていた。 

 

授業中は熾烈な論争(もはや戦い)が繰り広げられ、一点の隙も見せまいとする緊張感が漂う。それはまるで山登りの道中、呼吸のリズムを一定に保ち続けろと命令を受けた登山部員のようだった。この中にいる誰もがこの状況を“乱してはいけない”という雰囲気に包まれた。 

 

しかし、4限の読解困難な本を通じたバトルはウォームアップに過ぎないのだ。いわゆる本番は活動セクションごとに話し合う5限(そして6限)。 

 

荒れた海には戻るまいと後ろを振り返る学生はおらず、山頂を目指した。まだどこかで関ゼミの可能性を信じてゼミ活動に情熱を注いでいた。そして、指針としてゼミ生のやりたいことをリスト化した。 

 

 

さて、本題に戻る。ネパール学生からの贈り物に何を返せるのだろうか。時間に迫られる中、必死の思いで知恵を絞り出したが中々いいアイディアが出てこない。目の前の濃霧に歩みを止められてしまう。 

 

「ネパール人のことを何も知らない私たちが彼らを感動させるものを返すことなどできるのか・・・。」 

 

「インパクトのあるものをやりましょう!」 

もはや先生は、学生を混乱に陥れることが趣味か、としか思えない。しかし、慣れとは恐ろしい。学習力の高い学生たちは、先生の“場を乱す”雄たけびにもはや顔色を変えることはなかった。

ダンスが得意なゼミ生が「私やりましょうか?」と難題に臆することなくその場を仕切り始めた。

「私が簡単な振付を考えるのでみんなで踊りましょうよ!派手に行きましょう!」

と半ば投げやりとも思える提案。矢のように先生の頭に突き刺さった。動揺を隠せない先生(ただぽかんと見つめるだけ)。「好きなことをやれ」の発言に素直に対応してしまうピュアなゼミ生。山の澄んだ空気しか吸ったことがないような高潔な学生だ。

その後、ダンス動画の構成や選曲まですんなり決まってしまった。このスピード感に関先生は脱帽である。たとえ目の前の倒木が行く手を阻もうとも、すぐに答えを導き出すゼミ生であった。 

 時は数日流れ・・・ 

 

ゼミ生は動画作成の日々を過ごしていた。緊急事態宣言で外出自粛要請を余儀なくされているため、ダンス練習は屋内に限られる。大学生が一人自室でスマホを片手にダンスの特訓をしているという不気味で不可解な現象が発生していた。その光景を想像するだけでぞっとする、いや笑いがこみ上げてくる。 一方、ゼミ生からの熱い期待が注がれる先生はと言うと、まさかの「僕は踊らない」宣言!? 一同「絶句」である。 好き放題言っておいて自分は踊らないなんて・・・。

そのうえ、ゼミ生が動画作成に追われている中(予想以上に時間がかかった)、学生からの反応に先生は疑念を持ったそうだ。

「こいつら、動画制作のこと忘れたな。まあ、学生なんてそんなもんだ」 

酷い、あまりに酷すぎるではないか。 

 

翌週の授業はあらゆることが空回りで最悪の展開が続いた。関ゼミに入ったことを一同後悔し・・・かけたその瞬間! 

「できました!!!!」

 

山の向こうまで遠く澄み渡るような大きな声。待ちに待った動画完成の合図だ!

動画が流れる画面にゼミ生の視線は釘付けになった。

「ダンスの振付から動画編集まですべて完璧、凄い!!」

拍手喝采であった。“ブロッケン現象”を目撃し、剣山を登頂した気分だった。やった、ついにやった!

ふと、モニターの左上に写る先生の様子を伺うと、我々の歓喜を覆い隠す雲海のような薄暗い複雑な表情を浮かべていた。 

「次は何を考えているのだろうか?」

 

早速ネパールに私たちの動画を届けた。すると、大喜びしてくれた。

「このままネパール学生とやり取りを継続し、プロジェクトとして活動をスタートさせてしまおう!」とゼミ生は歓喜の渦に。 

しかし!

ここでもまた、薄暗い表情の先生の口から、一同を崖から突き落とすまさかの「トンデモ」発言。

「オンラインプロジェクトは無理。ネパール学生との交流はなし!」

「先生、それはないでしょう・・・。」

一気に白けてしまうゼミ生。つい先ほどの一瞬の高揚感は地に落ちてしまった。海外研修準備の過酷さは先輩からよく聞いていた。オンラインの難しさもわかる。でも、先生、何故にこのタイミングで??

「絶望的だ」この一言を心の中で呟かなかった者は誰もいない。ゼミ生の心は奈落の底に突き落とされた。

 

次回予告  ゼミ長と上智大生の起死回生の大奮闘 

関ゼミ生のダンス動画→ https://youtu.be/6RHujiMSWBc

文責:榎本みう 岡田美和
写真提供:尾口梨栄奈 トウエ・タッタ・サン

第1章「沈む幻惑、浮かぶ眩惑」


新型コロナにことごとく打たれ、もはや「青天の霹靂」立ち尽くすことしかできない関ゼミ。それを打開するべく、ミャンマー出身ゼミ長の提案で始まった“Zoom人狼ゲーム”。ゼミ生同士の心の距離を狭めることができたと喜んでいたが・・・。




 

「やりたいことをやってください。」


私たちは再び、激しい荒波の中に放り込まれることとなった。


「17名のゼミ生を4つのセクションに分けました。セクションメンバーは似たもの同士です。やりたいことを精一杯頑張って、“ゼミ内化学反応”を起こしてください。すごいことを期待しています。」


一人の活発な学生がすかさず質問する。

「具体的には何をすればいいのですか?」


「だから、やりたいことをやってください。すべては君たち次第!」


一同「・・・」


先生が何度も繰り返す「私たちがやりたいこと」の珍回答に、ますます広大な奥深い海底に引きずり込まれていくような気分だった。もともと先輩から「関先生は一筋縄ではいかない」と聞いていたが、もしかしてこの人はただの変人?それとも「やる気のない丸投げ教授?」もう意味がわからない。



「いや、そんなはずはない、先輩方が絶賛する関ゼミ。何か特別な仕掛けがあるはずだ。まずは信じてみよう!」


ゼミ生は必死に自らを鼓舞し、先生が勝手に決めた、謎めいた各セクションで訳もわからぬまま必死に話し合いを重ねた。その姿はまるで海流に逆らう魚たちのようだった。



しかし、私たちの疑念に追い打ちをかけるように、数日後先生からLINEグループにさらに奇妙なメッセージが送られてきた。


「みんな、好きなことをやろうよ!好きじゃないことは続かないですよ。」


一瞬、時化ていた海が凪いだような気がしていたが、それは大きな勘違いだったようだ。


この全く場の空気が読めない言葉にあきれた私たちの中からは


「好きなことってずっとゲームをやっていてもいいってこと?」


と本気で言い出す学生さえもでてくる始末。もはやカオス以外の何物でもない。


ただでさえ、今の関ゼミは「新型コロナ」という名の、鳴門の渦潮に巻き込まれているような惨事下にいるのに、当の先生は竜宮城に誘われるような恍惚な表情を浮かべ、


「もう、わっかんないよ♡」


「は??もう、わっかんない??」


この驚異の爆弾発言から、私たちはある重要な事実を突き止めてしまった。まさか、そういうことだったとは・・・。


一番溺れているのは学生ではなく先生だったのだ。


私たちは、目の前にいる‟モンスター”が見せた一瞬の隙を見逃すほど愚かではなかった。仮にも厳しいゼミ選考を通過してきた強者たちだ。



100年に一度とも言われる未曽有の危機。先生も人間。右往左往するのは学生と一緒。しかし、大学教授としてそう簡単には弱みを見せるわけにはいかない。だからゼミに入りたての無垢な私たちに、


表情だけは堂々と、「詭弁」を繰り返していたのだ。


 何ということだ。指導者すらも迷走する関ゼミ。


さらにコロナの影響でネパール学生との交流も水泡に帰し、途方に暮れていたその時、


デトリタスに埋もれた私たちに海面から天使の梯子が降り注いだ。なんと、見知らぬネパールの学生たちが、“Dear our love Seki Seminar members”(親愛なる関ゼミのみんなへ)と自己紹介動画をモーセの十戒の如く海面を切り開き送ってきてくれたのだ。


「今年はコロナのせいでネパールの学生と交流するのは難しい。」

先生はそう言っていたではないか!羊頭狗肉とはまさにこのことである。


しかし、動画の3分間は私たちの心の灯台に光を灯してくれた。落ち込んでいる私たちの気持ちを見透かしているかのように、元気づける心のこもった一言一言。まるで船から海に投げ出された泳げない船員を救い出すイルカのようだった。


聞けば、高材疾足の彼らは後発発展途上国の劣悪なネット環境を物ともせず、わずか3日間であのハイクオリティ動画を完成させたらしい。まさに”化け物”的優秀集団。


 「次は君たちの番だよ。もらったらお返ししないとね!」


 先生の目は目の前の獲物を逃がすまいとするサメのごとく真剣そのもの。突き刺すような期待の眼差しから、逃れる術を持ち得ている者など誰もいなかった。




 こうして、関ゼミかつてない、あの奇跡の関ゼミ自己紹介動画作成が始まったのである。(動画は→ https://youtu.be/6RHujiMSWBc )

2020年度活動報告~序章「青天の霹靂」~







「青天の霹靂」としかいいようがない。2020年度東京経済大学関昭典ゼミ。

 関ゼミの真骨頂は何と言っても海外ゼミ研修。全国どの大学でも経験できない独特の冒険型研修。ネパールで、ベトナムで繰り広げられる国際学生交流。これを目指して多くの東経大生が関ゼミを目指し、合格するのはわずかに一握り。合格学生は思わずガッツポーズする。
 しかし、新型コロナウイルスのせいですべておじゃんになってしまった。あの不屈の関先生でさえ打ちひしがれていた。関ゼミ生募集の面接では、誰もが未知の世界での異文化交流を夢見、憧れである関ゼミの活動に思いを馳せていたであろう。期待で胸を膨らませて、グローバルへの階段を駆け上がるはずだった。ところが、見事に階段から転げ落ち、奈落の底へ真っ逆さまという惨状である。
 ゼミ生同士が会うこともままならず、Zoom上での会話が精一杯のコミュニケーション手段。「他者との交流からの学び」を重視する関ゼミにとっては最悪としか言えない。ゼミ生の心はお通夜状態で、皆の顔には阿鼻叫喚という文字がピッタリなほどである。
 そんな中、この悪夢のような状況を打破すべく密かに解決策を練っていた人物がいる。ミャンマー人留学生、関ゼミの首領(ドン)ことゼミ長のトウエさん。ミャンマー語・英語・日本語を自由に操る強者だ。
 初回の授業でゼミ生の闇を感じ取ったトウエさんは、2週目の授業直後にアメージングな提案をした。「ゼミ生みんなで人狼ゲームをしましょう!」ミャンマー人ゼミ長から人狼!ゼミ生の雰囲気はメタモルフォーゼした。この瞬間、関ゼミに一筋の光が注がれた。スマホアプリを使った、zoom上で人狼ゲームは、打ちひしがれるゼミ生の心を一気に癒した。
 ゼミ生は各々人狼、村人、狂人、占い師などの役職に分かれた。ゲーム中、ゼミ生全員に「猜疑心」が宿った。「○○ちゃん怪しいからみんなで釣らない?」「次○○くん襲おう」など物騒な言葉が飛び交い、いかに相手が信用に足らない人物か散々論じることとなった。反面、ゲームを通して3時間喋り続け、コミュニケーションが生まれ、ゼミ生の絆が生まれた。

 これは関ゼミが紡ぐ英雄譚の序章に過ぎず、輝かしい未来を迎えるのはまだ先の話である。

2019年度活動報告~クラウドファンディングへの挑戦~



皆さん!こんにちは~こんばんは!
2019年関ゼミは幅広い年代が集まる超党派のゼミでした。まさかの1年生が単位なしで聴講生になり、4年生も就活の合間を縫ってリハビリ参加、AAEEとの一大プロジェクトなどなど。
さらに大学内で「関ゼミ」の名前が広く知れ渡りす・ぎ・た年でもあります。(笑)
まずは、年間のスケジュールから見ていきましょう。

                                


【年間スケジュール】

数々の快挙を成し遂げた勇士たち
4月 研究室ピザパーティー(2019関ゼミ発足)

5月 ◎クラウドファンディング準備(申請書類作成)
    ・AAEE JICA報告会イベント参加
    ・特別講演会第1弾(講師:Mailyさん/前年度ベトナム研修の現地リーダー)
    ・高校教員向け大学説明会(東経大を代表して参加)

6月 ・ゼミ合宿@武蔵村山キャンパス
    ・特別講演会第2弾(講師:関ゼミレジェンド北野先輩)
    ・第1回ゼミOBOG会@国分寺(史上初開催)
    ・朝日新聞タイアップ「大学力」の取材を受ける
   ◎クラウドファンディング開始(支援者を集めて目標の80万円目指す)

7月  ・第2回ゼミOBOG会@新宿
   ◎クラウドファンディング支援者集めのために複数企業訪問

8月 ・東経大オープンキャンパスで大学を代表して参加
   ◎クラウドファンディング80万円達成

9月 ・ネパール研修(2週間)
    ・ネパール全国紙に取材を受け、翌朝の記事になる
    ・日本-ネパール国際学生サミット2019開催@ネパールシャムロックスクール

10月 ・海外ゼミ研修学内報告会
    ・学内情報誌「大学報臨時号」にて関先生と学生2名が掲載される

11月 ・ゲストスピーカー講演会(講師:Jasonさん)
    ・ネパール貧困地域における生活実態調査
    ・ネパール日本学生の留学意識調査
    ・AAEE合同学生交流プログラム報告イベント@JICA地球ひろば

12月 ・学内ゼミ研究報告書に4名が参加
    ・TKUマルチリンガルフェア開催(学長先生も参加されました)
    ・第1回クリスマスパーティー@某ゼミ生宅
    ・第2回クリスマスパーティー@関教授宅

1月  ・YouTubeチャンネル開設(Mero SathiTV復活)

3月 ・TKU進一層賞学外活動部門受賞

全ては紹介できないので、気になる方は①Facebookページ②関ゼミブログ③関ゼミ公式Instagramでご覧ください!

【シャムロックスクール支援のクラウドファンディング】


クラウドファンディングを決意した関ゼミ生たち
私たちは、研修準備でネパールの厳しい現状を知りました。特に、関ゼミと親交が深いシャムロックスクールについて知ると、「自分たちにできることがないか」という想いが沸き上がりました。その結果、辿り着いたのがクラウドファンディング。過去に関ゼミやAAEEでは、何度もクラウドファンディングを試みて実行されなかった歴史があります。私達の代で絶対に成し遂げてやる!という強い思いを持ち、活動に励みました。
 しかし、大事件が発生。関先生に相談せずに準備をしてしまったのです。(笑)それでも関先生は、私たちの熱意を感じ、最後まで協力してくださいました。おかげさまで、見事に目標達成できました。本当にありがたいです。また、ゼミOBOGの先輩方や東経大の教員の皆さんをはじめ、家族、友人、関係する全ての人が協力してくれました。本当にありがとうございます。

【ネパール研修】

ずっと離れたくなかったネパールメンバーたち
2019年度海外研修の特徴はクラウドファンディング国際学生サミット。例年になく内容の濃い研修となりました。(2017年と同じく、マイダン村やリンネラハ村にも訪れたのでここでは省略)私たちはこの研修中、何度もネパールメンバーと支援方法の話し合いを重ねました。ネパールメンバーに日本で行った活動内容を説明すると、快く一緒に頑張ると意思表明してくれました。感動して涙を流すメンバーもいて、私たちの責任を改めて実感することに。ネパールメンバーは、全員がアイデアや意見を出し合ってくれるほど熱い人たちばかりです。正直、関ゼミメンバーは圧倒されました。どれも激しい議論になり、両国の学生が真剣に話し合う姿は、まさに国際協力の形になりました。とても濃密な2週間を過ごしたおかげで、ネパールメンバーとは今でも連絡を取り合うほど仲良しです。これこそ、真のグローバルパートナーシップの姿といえるのではないでしょうか。


【日本-ネパール国際学生サミットの開催】

日本-ネパール国際学生サミット
国際学生サミットは、クラウドファンディングの公約でした。この活動の目的は、単なる国際支援ではありません。活動を通じて、国際的な諸問題を解決できるパートナーシップの構築です。当日の朝まで、役割の確認やプレゼン内容の精査が行われ、皆この日のために全力を尽くして臨みました。会場は、クラウドファンディングの教育支援をおこなうシャムロックスクール。このサミットを象徴する代表的なスピーチがあります。石野田 副リーダーによる感動のスピーチです。(この日を迎えるまでの努力は涙ぐましいものがあります)資金集めの苦労、支援者への感謝、ゼミ長が体調不良により研修を断念したことを丁寧に語ってくれました。様々な出来事を正直に語る石野田さんの姿に、関ゼミメンバーは号泣し、ネパール学生も涙を流していました。シャムロックスクールの人たちをはじめ会場にいた全員に、私たちの思いが伝わった瞬間でした。

 

【この研修を通して学んだこと】

最後まで諦めずに取り組むことの大切さです。「全国規模で知名度がないゼミが、クラウドファンディングで80万円を集めるなんて無謀すぎる」と、全員が心のどこかで思っていました。しかし、始めた以上失敗は許されません。まだまだ学生なので、責任が取れる身分ではありません。それでも、やり遂げてシャムロックスクールの力になるという想いが大きな原動力となりました。資金集めをしていく途中で「この団体怪しいよ」「危ないからそんなこと辞めたほうが良いよ」と心無い言葉を沢山浴びさせられました。それでも、自分たちを信じて本気で取り組んだからこそ、目標達成し国際学生サミットを迎えることができたと思います。

【ネパール活動の発信方法】

主に、SNSを使った情報発信が多かったです。具体的には、関ゼミブログやFacebook公式ページ、公式Twitter(2017年から継続した活動)、新たな活動としては、公式Instagramを開設しました。一番大きな活動は、毎年11月に行われるAAEE合同の報告会です。今年は、クラウドファンディング成果報告も兼ねており、大学外の人たちに発信する大きなイベントでした。

関ゼミの授業風景



【1年間の活動で達成した事】

・クラウドファンディング80万円達成
・ネパール日本国際学生サミット開催
・TKU進一層賞受賞
・関ゼミ史上初のOBOG会の開催






【現ゼミ生へのメッセージ】

進一層賞受賞おめでとう
関ゼミを選んでいただき本当にありがとうございます!是非、全力でゼミの活動に取り組んでください。積極的に動くことによって、得られる成果は何倍にも跳ね上がるからです。「嫌だ~」って呟きましたね?騙されたと思ってやってみてください。歴代の先輩方が証明してくれていますので。そして、3月を迎えたとき、全員が関ゼミを好きでいてくれたら最高ですね。関ゼミポリシーを受け継ぐ人たちが増えることを密かに祈っています。(笑)焦らず、怠らず、諦めず頑張りましょう!!
 この1年間を通じて、1人では何も成し遂げられないことが分かりました。これはクラウドファンディング活動の経験が影響しています。関先生やゼミ生はもちろんですが、資金集めに協力してくださった大勢の人、ネパールメンバーの協力があったからこそ成功しました。この活動を通して、社会に出たら色んな人たちと上手くやっていかなければならないと強く感じました。学生までは、勉強や趣味など1人だけの力で何でもできます。しかし、社会人になれば、会社組織の人々、利害関係者と協力しなければ何も成し遂げられません。そのために異文化学習や言語学習が必要です。ゼミ生の皆さんも、バイトやインターンの経験をよく思い出してみてください。思い当たる節があると思います。
 さて、グローバル化により国境の壁がなくなった昨今において活躍できる人材とは、「自分以外の全ての人と上手くやっていける人」であると考えます。これは、まさに関先生の目指す教育像であったと思い知りました。まさにプロフェッショナルから学んだ1年間だったと思います。おしまいに2019年度進一層賞を受賞して、皆が口を揃えて言ったことは、「やり切ってよかった。」でした。皆さんは、どんな時間を過ごしますか?

 

【ページ作成の協力者】

・谷口惇(2019年度卒)
・学部:経営学部経営学科
・職業:物流業界

~編集手記~ 「関ゼミで学んだこと」
 「自分以外は外だ」という事ですね。だから、どんな相手でもリスペクトする心が重要です。え??どういう事?と思った、そこの関ゼミ生の後輩さんたち!正解は、自分で確かめましょう。(笑)
 私から1つ言えるとしたら、常に考えることが大切です。関ゼミは絶対と言っていいほど、壁が立ちはだかります。その時、簡単に諦める選択をしてほしくないのです。必ず道は開けるはずですよ。立ち止まることなく、一歩でも前に進んでください。ぶっちゃけ、何とかなりますから。ではどうすればいいのか。それは、頭をフル回転させて考えることです。本当に限界まで考えて行き詰まったら、その時は関先生が優しく寄り添ってくれますよ。どうせやるなら、振り切れるくらいまでやり切っちゃいましょう!「本気の失敗には価値がある。」私が大切にしている言葉です。本気で取り組んでみてはいかがですか?
 何か困った時は、遠慮なく関先生を通してご連絡ください。困ったら助けてくれる先輩がいる。これが関ゼミの良さです。私も多くの諸先輩方のお力をお借りしました。微力ながらお力になれれば幸いです。ただ忘れないで欲しいことは、私以外の先輩方は学生のように時間があるわけではありません。常に気を遣って接してください。約束ですよ?(笑)宜しくお願いいたします。





2018年度活動報告〜貧困と教育〜

こんにちは!今回は2018年度のゼミ活動をご紹介していきたいと思います!
この年度のゼミは昨年からの継続生4名に加え、新たに3年生3名と2年生3名が厳しい選考を通過した学生たち。真面目に淡々と1年間走っていくかと思いきや、、、2人の聴講生がスタート2ヶ月でいきなり70名集める大イベントを企画/開催したり、前代未聞の関内閣が発足したり色々起こりました(笑)
 またグローバルゼミだった昨年度と大きく違って2018年度のゼミは、なんとALL JAPANESE集団のゼミ!しかし年間テーマは国際的な問題である「Poverty & Education(貧困と教育)」と難しいものでした。
 国際的な学びや活動が多い関ゼミで、どのように1年間が過ぎたのでしょうか?? 


それでは、まず年間スケジュールから見ていくとしましょう!


【年間スケジュール】

4
・関ゼミ2018発足 w/2017OB&OGメンバー
・関昭典内閣発足?!

5
AAEE10周年記念イベントに
突撃参加/突撃取材
・講演会vol.1 韓国語のプロ通訳/翻訳家
「ツァイ 睦実さん(なんと関ゼミ1期生!)」
  →海外に興味があるけどどうすればいいか分からない人のための自己実現法

6月
・ゼミ合宿@武蔵村山キャンパス
TKU ENGLISH FAIR 2018開催
・講演会vol.2 ネパール支援家「垣見一雅さんことOK Bajiさん」
  →名言:The surest way to be happy is to make others happy.

7月
・リンさん(2017年関ゼミ生 ベトナム人学生)のお母様来訪

8月
AAEE Team Mero Sathi参加@JICA地球ひろば 
・ベトナム研修直前準備(プレゼンテーションやダンスを猛練習)

9月
・ベトナム海外ゼミ研修(2週間)
  →ホーチミン経済大学(TOP2 in VN)の学生と交流
・講演会vol.3枯葉剤被害者「グエンドクさん」
  →戦争の悲惨さと平和への願い
・貧困と教育における調査活動@ファンティエット
・ファンティエット大学/漁港/Ethic school訪問

10
・日本人学生とベトナム人学生の共同レポート作成&提出
・個人研究始動
・海外ゼミ研修報告会

11
AAEE合同学生交流プログラム報告イベント@JICA地球ひろば

12
・ゼミ研究報告会【改正入管法可決日on 12/8
  →過去10年間の関ゼミを総ざらいし、関ゼミの価値と存在意義を訴える
・加藤裕貴さん/吉野歩さんがアベック優勝@英語プレゼンテーションコンテスト
  →2017/2018年度ゼミ長、「再生可能エネルギー/ジェンダー」について各々発表
3回にわたりオープンゼミを開催
  →1. 異文化学習 2. 英語学習 3. 異文化学習×英語学習
・講演会vol.4 関ゼミ2013ゼミ長「青島一輝さん」
  →将来のために今何が出来るのか キャリアプランについて

1
・個人研究最終レポート提出

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もっと詳しい活動内容については、Facebook/Blog/InstagramCheck

ここからはいくつかピックアップして、詳しくご紹介します。

2年連続盛大に開催したENGLISH FAIR 2018


2017年に石垣航平さん(2018年は英語学習大臣)が発案し開催をした、ENGLISH FAIR。このイベントは東京経済大学の英語学習システムを総ざらいし、学内の英語学習向上に寄与するものでした。英語学習に興味ある学生はもちろんのこと、教授や国際交流課をはじめとする大学職員の方々にもご協力・ご来場頂きました。
聴講生の海野さんはENGLISH FAIR開催をなんとしても開催したいが為に、いきなり企画書を関先生に突き付けました!そして正規ゼミ生と先輩方を動かし、見事70名の動員を達成しTKU NEWSに掲載されました。すごかった!

 やはり東経大には英語学習に興味のある学生が非常に多いことがわかり、同時にその学習方法がわからないという学生が多いことがわかりました。関ゼミでは年間を通して英語学習を行なっております。関ゼミ初期の頃はご覧頂ければ分かる通り、英語学習がメイン活動となっておりました。そのDNAは少なからず過去10年以上継承されていました。皆さんも世界共通語を習得し、素敵な出会いと経験をしてみましょう!!



【ベトナム研修】

ベトナムで2番目に優秀な大学、「ホーチミン経済大学」の学生と交流しました。ワクワクと不安が全身をゾクゾクさせる中、現地に到着し翌日現地学生と交流スタートです。我々の国際学生交流を行うゼミ研修では、2週間現地学生と寝食を共にします。おはようからおやすみまで2週間、隣にはベトナム人学生。正直、辛いこと嫌なことなどもあれば、面白いこと驚くことも非常に多いです。
 初のご対面の時に歌やダンス/ゲームをして交流。これがスタートの合図です。いきなりでしたが、我々が驚き学んだことは出会ってすぐにありました。

 それは彼らのその研修にかける想いと気合いの強さでした。超ハングリー(笑)超驚きました。しかしなぜあそこまでなのかというと、彼らにとって他国の学生と交流するというチャンスは非常に貴重です。他国に自由に飛び回ることも現実的に厳しい現実があります。しかし、我々は今年楽しかったからまた来年も行こうと言えると思います。彼らは数少ない好機を最大利用し、学びや経験を最後の一滴まで搾り取ろうと必死に全力でぶつかってきてくれました。
貧困と教育の調査でCityから離れた村に行き、そのハングリーさに日本人メンバーも奮い立たされ、中には最後のアウトカムプレゼンテーションに向け夜遅くまでチームで活動するグループもいました。
最後には現地大学の校長先生等が審査員となり、公式のCompetitionで2週間の集大成を迎えました。




【最後に】

(※このお話は、それが良いとか悪いとかそういう話ではありません。)


 あなたはどう思いますか?
[設定]
あなたは語学に自信のあるサラリーマンとします。出世で、海外赴任が決まりました。今までのように朝から晩まで月から金までしっかり働き、「現地の人に負けないくらい人一倍努力しよう!」と意気込んでいます。
しかしいざ現地で勤務してみると、皆定時でさっさと帰宅してしまいオフィスに残ってるのはほんの数名だけ。


[質問]
この状況をあなたはどう思いますか?


自分が遅くまで働いてるのに、定時で帰宅する現地の人々はなまけ者だと思いますか?



[解説]
どう感じたからと言ってそれが良いとか悪いとかいう話ではありません。
そのような違いが世の中にはたくさんあるという事を知って頂きたく、この話を最後にしました。


これは、関ゼミで学ぶ異文化学習の1つ、「自文化中心主義」と「文化相対主義」という話です。
自文化中心主義とは、自らの所属する文化が正しいと考え、それを基に他の文化を判断する態度を指します。
文化相対主義とは、相手の文化、社会、相手自身ありのままの姿をよりよく理解しようとする態度を指します。


関ゼミでは例えばこのような事を学んでいました。
自分では受け入れられないことも、一度立ち止まってこの話を思い出して見て下さい。



これから様々な事を感じて学んで、
自分の知らない世界を堪能してみて下さい!








【編集者 ※Profile&Messageは、2017年記事参照】

加藤裕貴(かとうゆうき2019卒【2017-2018在籍】
・学部:経営学部経営学科
・職業:総合エレクトロニクス商社 法人営業職