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Mero Sathi Project 2024 序章―関ゼミネパール研修の幕開け 

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   東京の空は薄く曇っていたが、私たちの心は晴れやかだった。2024年9月7日、私たち東京経済大学関昭典ゼミのメンバーは、ついにネパールの地に足を踏み入れた。関先生がゼミを立ち上げた翌年、2008年に始まったこの研修も、今年で10回目を迎えたのだ。今、その記念すべき旅の始まりを前に、期待と緊張が入り混じった気持ちを胸に抱いている。  約5か月にわたる準備は、現地コーディネーターであるシティーズさんやネパールの学生たちの多大なる協力によって進められてきた。シティーズさんは、かつて自分自身も学生リーダーとしてこのプログラムに参加した経験があり、その熱意は並大抵のものではなかった。彼は私たちが訪れるすべての場所を事前に訪問し、安全対策を徹底的に確認してくれた。それは、まるで家族を迎えるかのような手厚い準備で、私たちの心を強く支えてくれた。  そして驚くべきことに、私たちの研修プログラムに参加したいと現地の大学生たちが殺到したという。290名もの応募があり、最終的に選ばれたのはわずか8名。競争倍率はなんと36倍!その話を聞いたとき、私たちは驚きのあまり言葉を失った。この研修が現地でどれだけ注目されているのかを実感する瞬間だった。  私たちの世代は、コロナ禍で修学旅行やさまざまな行事を奪われた世代だ。だからこそ、いつか世界に羽ばたくことを夢見て、一歩一歩努力を重ねてきた。そして、厳しい選考を経て関ゼミに合格し、やっと手に入れた「日本の外の世界」へのチケット。それが、このネパール研修だった。  しかし、実際にネパールの大地を踏んだ私たちを待ち受けていたのは、予想をはるかに超えた「まさかの事態」の連続だった。過去のゼミ生たちの体験談を読んでいたものの、それとは全く異なる出来事が次々に私たちの前に現れた。経験豊富な関先生でさえ、困惑したり、あっけにとられたりする場面が何度もあったのだ。  帰国後、私たち関ゼミ生は決意した。この13日間の体験は、単なる研修の記録としてではなく、まるで物語のように「面白すぎる」と。それを共有しない手はない、と。そこで、このブログ連載を通じて、2024年度の関ゼミによるネパール研修の全貌をお伝えすることにした。  この記録は、未来の関ゼミ生たちが学生生活を振り返る際の貴重な資料となるだけでなく、一大学のゼミがどのように海外研修を実施しているのか、その一

ネパール研修 Mero Sathi Project 2024 総括

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関ゼミでは、12日間のネパール海外研修を実施しました。この研修では、ネパールの学生達と共に様々な活動に取り組み、現地の文化や人々に触れる貴重な体験をしました。 研修中、私たちは国連機関を訪問し、国際的な視点から社会問題について学ぶ機会を得ました。さらに、村にも訪問し、ホームステイで現地の生活を体験しました。また、村では幸福度に関する調査を行いました。 メンバー同士交流を重ねる中で、恋の予感が漂う場面もあり、日常とは異なる環境の中で新たな感情が芽生えた人もいたかもしれません。楽しく充実した時間を送ることができました。 一方で、困難にも直面しました。コロナウイルスに感染したことで村での活動に参加できず、悔しい思いをしたメンバー や、精神的な辛さから涙を 流すメンバーもいました。 辛いことも楽しいこともたくさん経験し、チームの絆は深まったと感じます。最終日のお別れ会では号泣するメンバーが続出しました。この研修で得た経験と仲間との絆は一生の宝物になるでしょう。 なお、1日ごとの詳細は後日報告書にまとめて掲載する予定ですので、お楽しみに! 執筆者:中道美欧 Our seminar conducted a 12-day overseas program in Nepal, where we engaged in various activities alongside local students, gaining valuable insights into their culture and people. During the trip, we had the opportunity to visit a United Nations agency and learn about social issues from an international perspective. We also visited a village and experienced local life through home stays while conducting a survey on happiness. Amid the deepening bonds within our group, there were moments when sparks of romance seem

関ゼミガチ化宣言

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2週間のネパール研修から帰国し、日常生活に戻った数日後。気が付けば、2期の最初のゼミがもう2日後に迫っていた。ふと、1期には、ゼミの前にゼミ長・副ゼミ長と先生とでミーティングをして進行内容を決めていたことを思い出し、今回も同じように関先生にミーティングをお願いした。 そのミーティングでは、関先生から2期での活動内容について淡々と説明があったが、その説明を聞きながら、ずっと心の中で引っかかっていたことがあり、私は思わず口に出してしまった。 「1期でやっていた『多様性について考える』動画制作の活動って、本当に意味があったのでしょうか?ネパール研修の最中に、何人かのゼミ生から『2期のゼミには参加しないかもしれない』と言われて…。その原因が、1期の活動にもの足りなさを感じていたからなんじゃないかって思うんです。」 この言葉を聞いた関先生は、ゼミの内容を軽めにしている経緯を説明した上で「物足りないならばいくらでも内容を足すことはできるよ。でも本当に皆はそれを希望しているの。」と聞き返した。その上でZoomの画面共有で、関ゼミのホームページを辿りながら過去の活動内容を辿り始めた。そこには、私たちが経験したことのないものすごい活動が並んでいて驚いた。一通り過去の取り組みを見て「私たちがやりたいのは、コロナ前の2009年から2019年にかけて行われていたコンテストで受賞したり、独自イベントを作ったりする活動です!」と思わず声をあげた。 過去の先輩たちもネパールやベトナムでの研修に参加しており、その経験等を活かしてかなり精力的な活動を行っていたのに対して、私たちはそのような取り組みをしていないことに、正直悔しさを感じたからだ。私たちの心は燃え上がり、関先生に「ガチゼミ化」を提案し、2時間かけて説得した。「先生にとっては毎年のゼミかもしれませんが、私たちにとっては人生一度きりのゼミなのです。よろしくお願いします。」私たちの必死の説得に根負けするように、先生は「そこまで言うなら・・・でも、自分たちで言い出したということを忘れてはいけないよ。」と言って了承してくださった。この瞬間に、2024年度関ゼミの「ガチゼミ化」をすることが決定した。 翌日、他のゼミ生にもこの提案を共有し、全員から同意を得ることができた。しかし、全員の同意を関先生にラインで報告した際、返ってきた反応は予想外のものだった

関ゼミ  2024年度前期の活動総括 Seki Seminar: Summary of activities in the first semester in 2024

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  前期の関ゼミは、夏休み中に開催されるネパールでの海外ゼミ研修も視野にチームビルディングを目的とした活動を行ってきました。    ・垣見一雅氏(OKバジ)講演会   ネパール研修に向け、ネパールを23年間支援し続けている偉大な支援家「OKバジ」こと垣見一雅さんに講演をしていただきました。彼に「もし生まれ変わったとしたらどんな人生を歩みますか」と質問したところ、「もしそうなっても、同じようにネパールで支援をしたい」と仰っていました。OKバジの活動やネパールへの熱意、思いがよく伝わり、非常に有意義な時間となりました。 ・ゼミ合宿   5月には、互いの距離を一気に縮めるため、ほぼ初対面の状態でゼミ合宿を行いました。ぎこちない雰囲気の中、買い出しに行き、カレーを作り、約5000円のスイカを使いフルーツポンチを作り、バスケットボールで遊び、同じ宿で寝泊まりしました。最終的に皆、仲良くなることができました ・多様性をテーマとする動画作成   5月末から、多様性をテーマにした動画の作成に取り組み始めました。この動画は、多様性を意識して他者と交流しつつ、自分自身を振り返るためのものです。これもチームビルディングの一環として行われ、各自が演技力、編集スキル、脚本力を磨くことができました。しかし、内容の持続性が難しかったため、年間で全9本作成する予定だったものが、2本作成された段階で中止となりました。 執筆者:齋藤 翼 During the first semester, the Seki Seminar engaged in team-building activities in preparation for the Nepal study trip. ・OK Baji Lecture In preparation for the Nepal study trip, we had a lecture from Kazumasa Kakimi, also known as "OK Baji," who has been supporting Nepal for 23 years. When asked, "What kind of life would you live if you were reborn?" he replied, &qu

第5回授業 深層文化と自文化中心主義について

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   ゴールデンウィーク明けからゼミ生は大忙しで、ブログの更新が止まってしまって失礼しました。今後、連休明けの活動記事を急ピッチで更新していきます!  今回は 5 月 9 日の授業報告です。  今回の課題図書は「深層文化と残念な結末」についてです。その中でも特に自文化中心主義がどのような影響を与えてしまうのかについて考えました。    まず深層文化と言われて皆さんはぱっとイメージができますか?簡単に説明すると目には見えない文化のことです。この対義語に表層文化、目に見える文化が存在します。例えば、日本では家に上がるとき靴を脱ぐという表層文化がありますが、その深層には神道が深く関係しています。これが深層文化です。    次に今回の本題の自文化中心主義についてです。この言葉も聞きなれない言葉で、イメージが難しいと思います。私も勉強する前はいったい何なのかわかりませんでした。ですが、よく学んでみるとそこまで難しい内容ではないのです。   自文化中心主義とは、自分の属する民族 ( 文化 ) の価値を基準に、他の文化を判断、評価する考え方のことを指します。そして多くの場合、自分の所属する文化が他よりも優れていると思う傾向も不随するそうなのです。みなさんがイメージできるように、私の体験を例に説明しようと思います。   私が中学二年生の頃、アメリカ人の親戚が家に来たことがありました。私は彼と会うのが初めてだったのですが、彼は家に着くなり靴を脱がずに私の家の中に入ってきました。私はこの時、口に出しはしなかったものの、「人の家に勝手に靴で上がってくるなんて、なんて無礼な人なんだ」と思いました。初めて会ったということもありますが、靴を脱がないという行為によって私は完全に彼のことを「常識がない人」と評価してしまったため、打ち解けるのにかなり時間がかかってしまいました。   この時の私はまさに、日本人の「家にあがる時は靴を脱ぐのが常識」という自文化を基準に相手を評価し、相手の行動の意味などを知ろうともせず、一方的で否定的な評価をしてしまったのです。しかし「家の中では靴を脱ぐ」というのは、私の属する自文化での価値観であり、アメリカの地域によって家の中でも土足で生活する家庭も多く存在するのです。私は彼の行動の裏側にある文化や意味などを考えずに評価し

第4回授業 クリエイティヴィティとはなにか

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 みなさんこんにちは、関ゼミです!GWの真っただ中の5/2、関ゼミはいつも通りの授業が行われました。教室に集まった時のゼミ生は心なしか疲れ気味のように見えましたが、始まった途端みんなにスイッチが入り、とても熱い内容になりました。 今回の課題図書は、「クリエイティヴィティ-フロー体験と創造性の心理学-」の第一章「舞台設定」でした。クリエイティヴィティ=創造性、今回はその「創造性」の正体について真剣に考えました。 創造性と聞いてどのようなイメージを持ちますか?私は、あるとき突然パッとひらめいて、そのひらめきは今後の人生を大きく動かすもの、というイメージを持っていました。しかし、この本の冒頭に書かれていたのは思いもよらぬものでした。 『真に創造的な業績とは、暗闇で電球が点灯するような突然のひらめきによってもたらされるものではなく、長年の努力の結果なのである』 私が考えていたものと真逆でした!創造性とは長年の努力の結果からもたらされるもの。そして、チャンスが巡ってきたことに気がつくことと、そのチャンスを逃さずすぐに対応できる力があることが重要なのです。努力を継続している最中にやってくる運を掴み取る!ということです。 さて、この創造性を達成するためには、強い心理的エネルギーが必要となってくるそうです。さらに「心理的エネルギー」を充電するためには、有名なマズローの欲求5段階の内下位欲求(生理的欲求、安全の欲求、所属と愛の欲求、承認の欲求)をある程度満たしていないと難しいのだそうです。言い換えれば、創造性に富んでいる人は、これらの欲求をすべて満たすことができているので幸せな人が多いということにもなるようです。心が疲れてしまうと、何に対しても創造的にものごとに接することができなくなってしまいます。ですから、楽しいことや、好きなことに没頭することがとても大切です。周囲の環境を変えるのも、心理的エネルギーを溜めるのに効果的だそうです 心にエネルギーが十分にあると人は自己実現に向けて歩み始めます。創造的な業績を残したいと行動する時は、常に自分の能力よりも少し難しいと感じる環境に身を置くことも必要です。だからといって、難しい環境で努力をずっと続けるのは、とても大変ですよね。でも、もしそれが自分の好きな分野だったら、好きなことを頑張り続けるのは難しくてもチャレンジできるかもしれません。そして

第3回授業 多文化世界について 

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関ゼミのブログをご覧の皆さん、こんにちは。 今回のブログは、第3回のゼミで行ったことの報告をさせていただきます。   今回授業の最初に行ったことは、先生から出されていた課題図書についてです。みなさんは本を読むことは好きですか?ちなみ僕は好きです。自分の知識を広げられるのはとても面白いですからね。    今回の本は「Cultures and Organizations: Software of Mind(訳書)多文化世界―違いを学び未来への道を探る/岩井八郎,岩井紀子」です。この本の一部を元に「文化は、遺伝子的に引き継がれていくのか、それとも、生まれ育った環境から学習していくのか」などの異文化についてディスカッションをしました。この本は今まで考えてこなかった分野であったので、新しい発見が多くありました!   例えば、人のメンタルプログラミング(どのように考え、感じ、行動するかという全ての人にある固有のパターン)についてです。メンタルプログラミングと聞くと難しく聞こえるかもしれませんが、実はこれは皆さんも聞き馴染みがあるであろう3つのレベルで形成されています。その3つのレベルをピラミッド型に当てはめると、土台に「人間性」、中間に「文化」、そして一番上に「パーソナリティ」とあります。   人間性とは、『全人類に共通するもの』であるそうです。その人間性にも、遺伝によって受け継がれているものと、普遍的なこと(恋をする、悲しくなって泣く、大まかな善悪など)の2種類があります。本書にはこう書かれています。 『恐怖、怒り、愛情、喜び、悲しみ、恥を感じる能力、他人との付き合い、遊び、体を動かしたいという欲求、環境に注意を払い、自分が見聞きしたことを他の人と語り合う能力は全て、メンタルプログラミングのこのレベルに属している。しかし、これらの感情をどのように処理し、どのように表現するかは、それぞれの文化の中で修正される』   要するに、メンタルプログラミングの根本には、遺伝や人間としての普遍的な感情がありますが、それがどのように処理されたり、表に出されるのかというのには、文化が関わってくるということなのです。   文化というのは、『考え方、感じ方、行動の仕方のパターンを総称するもの』だといいます。関ゼミにある文化といえば、ネパール研修であったり、絶対に授業時間内に活動が終わらず毎回延