海外ゼミ研修(ベトナム)報告書 宮沢円爾(経済学部3年)
はじめに.
私は関ゼミのベトナム海外研修に9月の頭から2週間参加した。私はこのプログラムが始まるまでに幾つかの不安を抱えていたが、本レポートでは異文化交流を通して自己理解を深め文化的背景や教育の違いを学ぶという目的をもとに様々な体験を通して得た気づきとその際に得た私の心境の変化について述べていこうと思う。
ベトナム研修前に抱いていた不安とその克服に向けた姿勢
今回のベトナム研修に参加するにあたり、私は交流プログラムのプロジェクトリーダーとして、研修全体の進行や雰囲気づくりに関わる重要な役割を担うことになった。そのため、渡航前には大きな不安を抱えていた。不安の主な要因は自身の英語力への自信のなさと、海外経験の乏しさである。英語での意思疎通や異文化環境での適応が求められる場面で、自分が果たすべきリーダーとしての責任を十分に全うできるのかという疑問が常に頭にあった。オファーを受ける際には迷いもあったが、それ以上に「この機会を自信の成長に繋げたい」という思いが強く、挑戦を決意した。
実際の準備段階では、主に現地オーガナイザーや担当教員との連絡、そして文化パフォーマンスの内容調整や指導などを担当した。これらの業務を進める中で、次第に「自分にできることを一つ一つ丁寧に積み重ねていくこと」の重要性を実感した。
2.ベトナム研修における初期体験と異文化理解
約6時間のフライトを経て、私たちはベトナムに到着した。空港を出た瞬間に感じたのは、今までに味わったことのない異国の雰囲気だった。空気の匂い、街並み、人々の話し声など、全てが新鮮で、これから始まる研修への期待感が一気に高まった。
現地到着後すぐにTDMUの学生たちと対面し、交流がスタートした。初対面にも関わらず、彼らはとても親しみやすく、オープンな態度で接してくれた、その様子から早くも日本とベトナムの文化的な違いを感じ取ることができた。日本では、初対面の相手と親しくなるまでに時間をかけ、慎重に距離感を図る傾向がある。一方でベトナムの学生たちは仮に自分を「内向的」と表現する人であっても、自ら積極的に話しかけて関係を築こうとする姿勢が見られた。この違いは、交流プログラムの中で元も早い段階で感じた文化差異の一つであった。
続いて、私たちが事前に準備していた文化パフォーマンスを披露する機会が訪れた。初回の発表では緊張感が高く、「この内容がベトナムの観客に伝わるのだろうか」という不安があった。それに加えて私は代表スピーチを担当していたため、緊張は一層高まった。結果的に大きなトラブルもなく式を終えることができたがパフォーマンスの内容やクオリティについては、後に振り返る中で課題意識が芽生えた。
研修プログラムではベトナム語の学習や日本語授業の実施、さらには日本文化を体験してもらうための「縁日イベント」なども行った。これらの活動の中で、教育に対するアプローチの違いにも触れることができた。ベトナムの学生たちは、一つのことを深く、繰り返し、学ぶスタイルを重視しており、復唱や個別に問いかけるような形式であった。一方日本の教育スタイルは、短い時間の中でできるだけ多くの情報を提供しようとする傾向がある。この比較を通じて、従来の「当たり前」が総対比され、より深く定着する学びの形とは何かを考えさせられるきっかけとなった。
また、文化体験としてベトナムの伝統的な踊りや遊び、民族衣装、お菓子の紹介なども受けた、美しい衣装や竹を使った遊びには日本の昔遊びを思い出すような要素があり、お菓子からは日本ではあまり馴染みのないココナッツ味やバナナ蒸しパンのようなお菓子に触れることで視覚的にも味覚的にも新たな発見があった。
さらに、日常的な食事の時間にも文化の違いを強く実感した。ベトナムでは料理をシェアするのが主流で十分だと感じたら最後まで食べ切らなくてもいいといった文化を感じ、出されたご飯はできるだけ食べ切る慣習のある日本との違いに気づかされた。
別日にはクチ・トンネルに行きベトナム戦争の背景や当時の様子を感じ取ることができた。
映像を視聴後涙するベトナム学生を目にして私は戦争に対する思いは理解できる部分があるのではないかと考えた。どの時代にも人間は生き抜くために食糧を確保し、仲間と支え合い、乗り越えていた。
3.セルフリフレクション活動
研修の前半にゼミ内でのリフレクションが行われ、それまでのプログラムに対する意見交換をした。ここで私は自分の役割が十分に果たせていないことを痛感し改善に向けて自分の考えに向き合うこととなった。ここでみんなの考えを聞いたことでゼミ内の意識が上がり、より会話が活発になった。あるゼミ生に「もっと自分について考えた方がいい」というアドバイスを受け、私はどのような気持ちで研修に参加したのか、また自分が考えるこのプログラムのゴールは何なのかを考え直したことで自分にできることを再確認し、プログラムの成功へのアプローチを変えることができた。
このプログラムの研修中に何人かのベトナム人学生と二人で人生について話すことができた。ある人は家庭環境が悪く自分の価値を見出せないと言い、別の人は将来に向けてインターンシップなどに参加して実績を残していると話していた。会話を通じて私はその人に人生はより深い会話をすることで知ることができ、理解しようとする姿勢が重要であることを学んだ。またその人の内面を知る為にはまず自分から歩み寄る必要があり、それは国を跨いでも同じことだった。心に触れるためには感情の共有が不可欠であることを認識した。
私はこの研修中自分のことよりも関わる人たちのことで頭のほとんどを占めていた。これは全体の雰囲気や居心地が良いことが自分の安心や平和に繋がるという考え方をしていることの表れだと思う。
まとめ
この研修を通じて私は自己理解が他者理解よりも難しいことを学んだ。けれどこの難点は交流によって緩和され、比較をすることで新たな気づきを得ることができるとも言える。約2週間を共にしたゼミ生徒の距離が近くなり素の自分を少しずつ出すことができ、後期の活動がより楽しみになっている。そして私はもっと世界の人と繋がりたいと思うようになったため、SNSやインターナショナルカフェなどの交流の場に参加していきたいと思う。そのためには英語の勉強により励む必要があるが、目的が明確である以上自分のすべきことも明らかである。また自身の環境に適応する力への気づきも得ることができたため、自信を持って挑戦し、新たな環境に飛び込むことを躊躇わず生きていきたい。
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