ネパール研修報告書(1)自己分析の旅


本日から毎日ネパール研修の振り返りとして、ゼミ生の報告書を掲載していきます。
第一回目は副ゼミ長石野田明日葉さんです。

タイトル:自己分析の旅
石野田明日葉

ネパール研修で私はリーダーシップや異文化間でのコミュニケーション、ネパールの文化、伝統、生活のあり方など本当に多くを学んだ。

しかし、私はこれら一つ一つの学びには共通点があるのではないかと帰国してからずっと考えていた。そして、ある答えに辿り着いた。

それは、この研修は『自己分析の旅』であったということ。

ネパールでの貴重な経験や学びの全てが自己分析に繋がっていると考えたのだ。



実はネパール研修へ行く前、当時の自分の状態を記録するため日記を書いていた。

ネパールから帰国して数週間経ち、改めてその時の日記をみて驚いた。

そこには

「自分のやりたい事が何かわからない」

「私は何のために頑張っているのかわからない。」

「私は他人と自分を比較しすぎている。」

「英語が話せないから研修で一人きりになってしまったらどうしよう。」

「周りの人は自分に比べていい経験をしいて将来が見えていると余計なことばかりに目がいってしまって自分の事が見えていない。」など自己否定や悩み事がダラダラ書かれていた。

私ってこんな人間だったっけ?と思うほど今の自分の状態とほんの数ヶ月前の自分の状態が180度変わっていたのだ。

きっとこの頃の私は、自己分析が全くできていなくて他人と比べては、自分は何がしたいのかを探そうとしていたのかもしれない。



そんな私が様々な理由によりネパール研修でリーダーを務めチーム全体を率いる事になった。これは、私にとって自分を変える大きなチャンスだった。

ネパール研修前日、私はリーダーとしてゼミ生みんなを引っ張って行けるのか、英語が話せない私は現地の学生達とコミュニケーションを上手く取れるのか、不安でいっぱいだった。しかし、「もうここまで来たら全力で取り組んで悔いのないように研修を終えてやろうではないか!」と覚悟を決めたのを覚えている。



人生初めてのネパール研修はとにかく衝撃的な景色や瞬間の連続で日々感情が移り変わって行った。生活も日本にいたら想像がつかないくらい異なるし、日本での当たり前があの国では全く通用しない。

中でも一番印象的だったのはマイダン村での二日間とそこに行くまでの道のりでの心境だ。

バスで8時間もの移動があったり、ジープで道なき道を5時間移動することもある。

その道中で私は関先生と自身のことについて話したり、一人で窓の外を眺めながら自己について考えたりした。





ある時、先生から「明日葉さんはすごく丁寧な人です。」と言われた。

研修中ずっとメモを取っていたり、一つ一つの作業に時間をかけて細かくやる様子などを見てそう思ったと教えてくださった。

そんな事を言われた事が無かった私は自分にもこんな一面があったことに驚いたし、嬉しかった。今までは、周りから大雑把と言われつづけていたためいつの間にか自分は大雑把な人間だと勝手に決めつけてしまっていた。

心の中で、「あ、私は丁寧に作業をやってもいいんだ。時間をかけるときがあってもいいんだ。」と“大雑把な人間である”と自分に貼られたレッテルがスーッと落ちてゆく気がした。

このようにネパール研修での毎日は、今まで生きて来た中で私に貼られて来た様々なレッテルが剥がされていき、新たに自分で自己を形成して行くような日々だった。



なぜ、こんな事ができるのかひたすら考えた。

考える中で私はマイダン村での生活を思い出した。

その村は、水道を多数の家庭と共有、インターネットの電波はほとんど無し、テレビも無くて、水は雨水など貯めたものを使い、飼育されている動物達と共存し、家の壁は赤土で出来ていて、電気は家の中に小さな電球が1つか2つある程度、ガスは通っておらず、トイレも流れない、そして周りは大きな山々に囲まれている大自然の中にポツンとある小さな村。ないないだらけの村だ。



しかし、ここでの生活は私にとって非常に豊かであり自然体でいる事が出来た。

まず、朝は動物達の鳴き声と共に目覚める。顔を洗いに外に出ると新鮮な朝の空気が出迎えてくれる。大きく深呼吸をして「今日も一日頑張ろう」と自分に言う。



この村で活動をすると本当にチーム一人一人の人間性が垣間見える。

そのため私はリーダーとして常に周りに目を配り、その時々で自分が何を思ったのか考える事が出来た。

生活に必要最低限のもの以外何もない生活をしていると自然と人は他者との交流に目が行きコミュニケーションをとるようになる。そして、そこで得た自分自身の感情とも向き合えるようになり自己分析ができるようになる事がわかった。

多くの時間を他者との交流に使いその中で新しい文化に触れたり、価値観に触れることにより、今まで気づかなかった自分自身の新しい感情に気づく事ができた。

日本にいる時と違ってネパールには自分にとって余計なフィルターが無い分、自身の感情がダイレクトに伝わってくる。

ここでいうフィルターとはSNSで見る他人の情報やテレビの情報、また周りの人から貼られるレッテルのようなもの。

マイダン村での生活は特にこのようなものが一切無かったから私は自分と向き合う事ができた。
マイダン村の写真


そして、帰国した私がどんな風に変わったかと言うと。

・ネパール人と交流する中で英語力の低さを思い知ってもう一度ネパールの皆と自分の言葉で会話が出来るようになりたいと思い英語学習をはじめた。=目標が出来た

・リーダーとしてチームを率いて研修をやり切った事が自信に繋がり新しいことにもっと挑戦したいと思うようになった。

・自己と向き合って行く中で新たな一面を発見できたお陰で自分の意思で物事を決めていけるようになった。

・他人と自分を比べなくなった。



帰国してから、やりたい事が出来て目標を達成するために日々努力している。

そんな時間が私にとっては幸せな時かもしれない。



多くの人が普段、自分が身を置いているのはきっと自分にとって居心地のいい場所だろう。

そこから一歩外に出るのはとても怖いしできる事なら出たくない。

私もそんなことを思っていた。

ただ、勇気を出して一歩外に出て見ると今まで見たことのない景色や自分の姿を発見する事ができる。

この旅で得る事が出来た“自分”はこれからの私の人生を大きく変えて行くだろう。


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