ネパール研修報告書(8)より深まったネパールの理解

タイトル: より深まったネパールの理解             
遠藤 貫太


 私は、ネパールへの訪問は2度目であった。そのため今回は、前回とは異なり、4年生であることから自らの将来的なキャリアアップを目的として参加をした。近年、目まぐるしく成長を続けるアジア地域の中でも、多くの可能性があるネパールにおいてを人脈を広げ、その分野における理解を深めることで現在私が持つキャリアゴールの達成に近づくと考えたためである。しかし、本プログラムを通しての学びは、その目的に限った学びだけではなかった。また、それは目的以上に印象深く、大切なものであった。それらを本レポートで述べる。



ネパール訪問中、ネパール人学生にアルバイトは何をしているのと質問したら特にしていない。とほとんどの学生が口を揃えて言った。そして、彼らは加えて『ネパールでは、雇用機会が極めて少なく、学生は特に仕事を得ることは極めて難しい状況にある。』と言ったのである。

日本では、学生がアルバイトをしようと考えれば多くの選択肢があり、容易に仕事をすることができる。一方、ネパールでは、ほとんどの学生がそうではない。アルバイトだけでなくインターンシップさえも学生では相手にしてもらえない現状がある。この背景として、多くの企業は、学生は、学びの過程にいるため働くには十分の知識を備えていないという価値観を持つ為、主に学位ないしは博士を取得した人々を採用対象にするということがあるらしい。

確かに、企業の考えている通り、大学や大学院を卒業した人々の方が知識を備えているかもしてない。しかし、教室で得た知識をすぐに仕事に還元できるかどうかはまた別の話になると私は考える。そして、学生のうちにアルバイトやインターンシップを経験することは、社会や会社の一員として、働くとはどういうことなのかを理解することに加え、社会に出た際に培った経験を基に社会生活や業務へ適用しやすくなることに繋がると言った非常に価値ある経験を得ることのできる為、学生にとって大切な活動であるとも言えるだろう。企業が可能な限り学生をアルバイトやインターンシップで雇い、実際に学んでいることをアウトプットする環境を提供できれば、学生は仕事というものを理解するだけでなく、教室で得た知識を使うことより“実践的な学習”や職場環境への適応が比較的容易となる。故に、卒業後には、企業の即戦力としてすぐに業務に取り組む事ができることも可能となるであろう。これは企業側にとっても育成する時間とコストを削減でき両者にメリットがあるのではないかと感じた。しかし、ネパールでは、あまり許容されていないことを学んだ。

これに加え、これがネパールの発展を妨害する1つの要因であると感じた。ネパールでは、優秀な学生たちが海外へと行ってしまう深刻な問題があり、その現状はこの問題につながると考える。それは、留学意識調査から得た結果が根拠となる。調査の中でなぜ留学へ行きたいかという質問において回答の多かった順に➀視野を広げたい、➁将来良い仕事を得たい、➂語学力向上という上位3つに次いで4番目に多かったのが海外で働いて見たいという回答だった。上位3つの回答は、海外留学へ行く人のほとんどがそれらの目的意識を持って渡航することは一般的であるが、海外で働いて見たいから(インターンシップ等で)というのはメジャーな目的ではない。また、留学をした友人から影響を受けたことはありますかという質問に対して、“実践的な学び”をしたことに対して影響を受けたと言った回答が目立った。

 この結果から、ネパール学生の中には、アルバイトないしはインターンシップを通して、各個人が高校や大学等の授業から得た知識を使用しながら“実践的に学ぶ”という環境を求めているのではないかと感じた。先ほど述べたとおり、ネパールでは、優秀な人材が海外へと渡航してしまうが為に国の発展が遅れてしまうという深刻な問題がある。それは、先ほど述べた企業の学生に対する価値観が学生の求めている学ぶ場を消してしまっていることにより、彼らが求める学びの環境が整っている海外へと学びのフィールドを移してしまう一つの要因となるであろうと私は考えた。今後、ネパールの政府をはじめ、企業おいても学生に対する価値観をなくし、学生が求める環境を提供できるように見直す事で、国内でより良い学びが可能となり、渡航する学生が減少すれば、将来的にネパールのは発展や進化に役立つのではないかと考える。



 最後に、私が今回の活動を通して改めて学んだ最も重要なことを述べる。それは、クラウドファンディングを通して学んだ。ネパールのある学校を通してある子供を支援する目的で約80万円集めることに成功した。その成功した瞬間ももちろん達成感を得たが、さらに得た瞬間があった。それは、プログラムの中で最も大きなイベントであった国際学生サミットが終了した瞬間である。私を含めゼミ生全員で努力をして行ってきたクラウドファンディング。その過程では、諦めかけたり、様々な心のない言葉を浴びせられたこともあったが、みんなで協力して最終的にはやり遂げた。途中、なんのためにやっているのか分からなくなることも個人的にあった。しかし、サミットで現地の生徒や先生方から自分たちの努力が認められて感謝され、初めて目に見える形となった瞬間、そして、ゼミ生と頑張った人にしか分かち合うことのできない喜びを共有した瞬間になんとも言えない達成感と幸福感を得た。この時、私は、改めてなんかに対して本気で取り組むことの大切さを理解する事ができた。

 このような、極めて大切な経験を社会人になる前に再認識できたことは、とても大きな意味を持ち、自分自身の人間力をさらに高める事ができた。また、このような経験をするにあたり、ご協力して頂いた支援者の方々、大学、関教授、両国の学生、両親に心の底から感謝したい。



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